第2次世界大戦以来、最悪の医療危機を迎えたイタリアでは、医師や患者、その家族たちが「戦地でも経験したことがない」(元軍医のマルコ・レスタ氏)決断を迫られている。写真は、集中治療室から救急車で移送される患者を診る医師。3月16日、ローマで撮影(2020年 提供写真)患者は全員、安静状態で、人工呼吸器を装着されている。
ミラノにあるこの病院では、これまではランチタイムは面会時間とされているのが常だった。だが今、イタリアが2000人以上の死者を出した新型コロナウイルスへの対策に奮闘するなか、見舞客はすべて断られている。もはやイタリアでは誰1人として家を出ようとしない。「COVID-19」の感染が広がり、重症者も増えるなかで、ICUのベッドはますます必要とされるようになっている。この病気では呼吸障害が生じる可能性があるだけに、なおさらだ。ベッドに空きが出るたびに、麻酔専門医2人が蘇生専門家・内科医と協議のうえ、次に誰を入れるかを決定する。「高齢の患者の場合、ICUから出た後、面倒を見てくれる家族がいるかどうかを考慮する。支援が必要だからだ」と語るのは、ポリクリニコ・サン・ドナト病院のマルコ・レスタICU副室長。第2次世界大戦以来、最悪の医療危機を迎えたイタリアでは、医師や患者、その家族たちが、元軍医のレスタ氏に言わせれば「戦地でも経験したことがない」という決断を迫られている。イタリアでは16日現在、新型コロナウイルスの感染者が27980人、死者は2158人に達した。報告された件数としては、世界では中国に次
ロンバルディア州ではICUでの治療を必要とする患者数が3週間で1135人に達したが、ミラノのポリクリニコ病院(前出のサン・ドナトとは別)のジャコモ・グラセッリICU室長によれば、この地域のICUは800床しかないという。グラセッリ氏は、ロンバルディア州内すべての国営病院のICUを統括している。 こうしたジレンマは医学界では珍しくない。呼吸困難が生じている患者を治療するに当たって、ICU担当医らは「挿管」、つまり口腔内にチューブを挿入し、喉・気道に下ろしていく侵襲的な処置を行う前に、回復の可能性を評価するのが常道だ。
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