[東京 25日 ロイター] - 安全保障上重要な技術を持つ日本企業に対する買収阻止を目的とした外為法改正に関し、海外投資家からの懸念表明が続いている。国内の関係者からも日本の市場が縮小するとの声が出るなか、政府は市場関係者や海外投資家への説明を続け、現在策定中の政省令によって対応していく構えだ。
現行の外為法は、原子力、航空宇宙など「国の安全等を損なうおそれのある業種(指定業種)」の上場株式を外国投資家が10%以上取得する場合、事前届け出を義務づけ、政府の審査対象としているが、改正法は基準を1%とし、事実上の規制強化を行う。法案は昨年11月の臨時国会で成立、今年4─5月の施行が予定されている。ある東証幹部は「海外投資家による株式市場での取引は、全体の60%に達しており、海外投資家による日本株の保有比率も30%を超えている」と指摘した上で「日本市場への投資を阻害するような法制度、手続きを整備することで、日本への投資の撤退を助長することは、日本の健全な経済発展を阻害してしまう」と憂慮している。財務省は昨年10月末ホームページ上に「よくある質問」との解説を掲載。今後は、現在作成中の政省令で、市場に配慮した運用指針を示していく予定だ。届け出が必要な企業についても財務省が全上場企業を対象に選定中だ。並行して財務省や経済産業省は昨年末から市場関係者や海外投資家への説明を展開している。
規制対象企業の選定に関しても「対象企業が広くなると株価・企業へのネガティブインパクトは大きくなる」、「規制対象業種の定義や選定プロセスが不透明であること自体が、アクティビストをはじめ海外投資家から指摘される一番の問題で、透明にすべき」、「安全保障と全く関係ない『皮革関連』までなぜ規制対象業種になるのか」などの疑問が出されたという。
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