カジノへの客足は総じて戻ってきているが、その中心は、1回当たりの掛け金が数百ドルから数千ドル前後のいわゆる「プレミアムマス」層。かつてマカオのカジノ収入の大半をもたらしてくれた「VIP(ハイローラー)」と呼ばれる富裕層は厳しい規制のために姿を消し、最も掛け金が少ない「マス(大衆)」層の来訪数は、まだ新型コロナウイルスのパンデミック前の2019年の水準を回復していない。JPモルガン(香港)のアナリスト、DS・キム氏は、中国本土の景気がさえない中で、マカオは健闘しているものの、全ての事業者の業績が改善しているわけではないと指摘。マス層向け事業が際立って大きいサンズやギャラクシーは、自社や市場の期待ほど株価に勢いが出ていないと付け加えた。モーニングスター(深セン)のアナリスト、ジェニファー・ソン氏は「今のところ、客足とカジノ需要がいずれも19年の水準に戻っていない中で、MGMチャイナとウィン・マカオは相対的な事業規模の小ささとプレミアムマス層に軸足を置いている点から、顧客へのマーケティングやセールスなどの効率性が強みになっている」と述べた。これまでのマカオのカジノ市場回復で最大の追い風を受け
依然としてマカオ最大のカジノ事業者であるサンズ・チャイナのグラント・チャムCEOは、客単価収入はパンデミック前を上回っており、客足全体が今後パンデミック前に戻れば、その恩恵を最も享受する立場にいるのが同社だと強調した。マカオにとって、プレミアムマス層重視はカジノ以外の消費支出増加というメリットももたらしている。マカオ観光局によると、昨年のこうした支出額は19年比で11%増え、710億パタカ(88億2000万ドル)に上った。中国本土の景気がさらに減速すれば、マカオにもその影響が及び、真っ先にカジノが打撃を受けるとみられるため、事業者としてもカジノ以外のさまざまな娯楽を導入し、幅広い層の客を呼び込むことが大事になる。現在は来訪者の7割が中国本土からで、それ以外の地域からの集客にも力が注がれつつある。
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