古川日出男は、同書の前書きを「平家は成長する物語だった」と書きはじめている。多数の語り手・編集者たちが物語を増補し物語を成長させることで、さまざまな異本を生み出してきたことを古川は面白がっている。ただし一方で古川は、さまざまな増補がすべて効果的だったかといえば決してそうではないことを指摘する。そしてその上で、構成上不要と思われるものを削ることなく、その代わりに「平家が語りものであったという一点に賭け」る形で訳したという。1クールという短い放送時間である以上、エピソードの取捨選択は避けられない。実際、本作は『平家物語』の軍記物という部分については、ポイントを抑えて映像化してはいるが、戦闘やアクションの描写には強い力点を置いていない(とはいえ平敦盛と熊谷直実の一騎打ちは数少ない個人中心のアクションシーンとして力を入れて描かれている)。むしろ“軍記”の部分は、琵琶法師の語りを絵に組み合わせ、その語りの調子によって表現しようとしている。
「unified perspective」を訳すと「統一された視点」となる、。端的にいうならば、多数の語り手が存在した原作に対し、アニメは、びわというキャラクターを新たに設定し、彼女を「統一された視点(unified perspective)」として物語を進めたということだろう。そのため彼女は狂言回しとして、さまざまな場所に出入りし、『平家』という大河を構成する様々な登場人物と出会い。 重盛が見ていたものが平家の運命を決定づける原因、つまり「因」であると考えれば、びわ見る“先”がその結果である「果」であろう。こうしてびわは、平家の没落にまつわる「因果」を見通すことのできるキャラクターとなる。
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