ウサギ目の体はどれも小さなものですが、家畜化されたウサギや競争相手のいない地中海の島で生息していたウサギは平均体重が7~8kgに及ぶものも存在します。そこで富谷氏は、大陸の環境下で競争相手となり得る牛や馬などの草食哺乳類が、ウサギの大型化を抑えてきたという仮説を立て、検証を行いました。
まずウサギ目の最大体重と生息環境が地域間でどのように異なるのかを地球規模で分析した結果、同じ地域に生息するウシなどの有蹄類の最小平均体重がウサギの形態に最も大きく影響を及ぼす要素であることが判明します。 そして北アメリカ大陸における過去3750万年間のウサギ目の推定最大体重と環境要素を分析したところ、同じ時代に生息する有蹄類がウサギ目の大型化を抑制していたことが示唆されたとのこと。また、そういった有蹄類は草原の拡大などの気候変動に伴い、種を交代していったことも明らかになっています。 さらに、富谷氏が現存するウサギと有蹄類で予想される局所個体群のエネルギー使用量を比較したところ、それぞれの個体が安定してエネルギーを摂取できるウサギ目の体重は約6.3kgだと判明。この体重を下回る場合、同程度のサイズの有蹄類よりもウサギが競争的に優位であり、反対にこの体重を上回る場合、ウサギは有蹄類との競争において不利であることが予測されるとのことです。
進化の知見と言うより、淘汰圧の発生起源の知見と表現した方が妥当。 「進化」と言う言葉は、いろいろと誤謬を招く。