:ここからは、「アジアの財閥、大企業発のイノベーションスケール事例から学ぶ」ということで、蛯原さんにいろいろお聞きしていきます。せっかくシンガポールから参加されているので、アジアの財閥や大企業の新規事業の事例などをお聞きできたらと思います。新規事業は息子さんや娘さんなどの二代目がやっていて、だいたい30代から40代前半ぐらいです。企業年齢自体がまだ若いので、その人たち(二代目)が「デジタル」「スタートアップ」「イノベーション」と言ってやっています。大なり小なりスタートアップ投資やコーポレートベンチャーキャピタルみたいなものをファンクションとして持っていますね。
例えばリテール(小売業)でスーパーマーケットをやっていたら、Eコマースを新規で作ったり、やっている会社に出資したり、買収するみたいなことをやっていますし、いわゆるDXっぽいものはそういったかたちでほぼ全方位でやっている。:ちなみに、日本でもだいたい二代目が第二創業的に新しいことをやることがあると思いますが、うまくいかなかったり、社員が言うことを聞いてくれなかったりといったこともあると思うんです。アジアの財閥はそこはトップダウンでガーっとやってしまう感じですか?:そうですね。1つは企業年齢があると思います。企業年齢が若ければ、ファミリー度合い、ファミリーカルチャーが強い。それこそ豊田伊吉さんがいて、二代目の豊田佐吉(トヨタグループの創始者)さんが思いっきりフルピボットして織物から自動車に行くわけじゃないですか。そういったことは、企業年齢が若ければできますよね。
しかし、三代目、四代目になったり、オーナーシップがだんだん薄れてくると、だんだん大企業化していくことはあると思うんです。アジアは日本の大企業に比べたら、2~3世代は若いので。下手をしたらインドなどでは、創業者自身がまだまだ現役でバリバリやっている会社も多いです。
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