家康には関東まで版図を広げる意思はなく、侵攻したこともなかった。本能寺の変の直後、武田氏旧領だった甲斐・信濃を手に入れようと北条氏と合戦に及ぶが、後に北条氏と同盟を結んだことで、上野については北条氏の領有を承認する。関東の雄・北条氏に対し、関東に食指を動かすつもりはないとの表明でもあった。 ところが、天正十四年(一五八六)十月に秀吉に臣従すると、家康は関東平定の役割を課せられる。北条氏に代表される関東の諸大名を豊臣政権に服属させるよう命じられたことで、北条領を狙っているのではと疑われてしまう。同十六年五月に、困惑した家康がそれを否定する起請文を北条氏に差し出した。.
家康には関東まで版図を広げる意思はなく、侵攻したこともなかった。本能寺の変の直後、武田氏旧領だった甲斐・信濃を手に入れようと北条氏と合戦に及ぶが、後に北条氏と同盟を結んだことで、上野については北条氏の領有を承認する。関東の雄・北条氏に対し、関東に食指を動かすつもりはないとの表明でもあった。 ところが、天正十四年(一五八六)十月に秀吉に臣従すると、家康は関東平定の役割を課せられる。北条氏に代表される関東の諸大名を豊臣政権に服属させるよう命じられたことで、北条領を狙っているのではと疑われてしまう。同十六年五月に、困惑した家康がそれを否定する起請文を北条氏に差し出した。
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