一流馬育成の秘訣(ひけつ)とは――。11年に開業し、美浦所属ノーザンファーム生産馬の拠点・ノーザンファーム天栄を取材。調整やリフレッシュ、移動に伴う体調管理などのケアを行う福島県天栄村にある外厩施設の裏側に迫った。
東京ドーム約10個分。広大な敷地にあるのは、トレセンに負けず劣らずの充実した設備だ。傾斜36メートルの坂路に、1周1200メートルの屋外周回コース。13厩舎355馬房が設置され、約140人のスタッフが汗を流している。 この快適な環境下で現在、“夏休み”を送っているのがイクイノックスだ。午前5時からウオーキングマシンやトレッドミルで運動した後、5時40分から6時10分まではコースで調整。そこからは歩き運動や馬体の手入れを行い、7時に一日のメニューが終わる。木実谷雄太場長(43)は「22〜23度の快適な温度で調整が続けられています。ドバイの後よりは消耗もないです。いい状態で秋を迎えたいですね」と世界最強馬の現状を話した。
昨年11月に建てられた最新厩舎は天井にファン(扇風機)を設置するなど、木実谷場長は日々新たなことにチャレンジする。「馬も人と同じで常に変わっていくもの。過去の成功例にとらわれず、その変化に合った調整法を模索していかないと、いい成績を残せないと思います」。一流馬育成の裏には、飽くなき探究心があった。
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