3点を追う9回2死、5打席目に立った宇野が直球を捉えて左中間に運んだ。「自分がヒットでもデッドボールでも何でも勢いをつけようと。センター方向だったので入ったくれ、という感じ。狙っていたストレートだったので完璧だった」と振り返った。一矢報いたものの、この日は5打数2安打。「自分が打たないとっていう責任に負けてしまった。力みまくってチャンスで打てなかったのが悔しい」と唇をかんだ。
それでもプロ注目打者の実力を見せつけた春だった。本塁打は今大会3本目。練習試合なども含めて木製バットでは10本目だ。今春より低反発のバットが導入されたが、「自分は低反発のほうが振りにくい。しなりもあるので、木のバットのほうが飛びやすいと感じる」と量産を続けている。 和泉実監督は、「最初のほうに宇野が打てないとこうなってしまう。宇野頼みになってはいけない。あとは守れないと勝てない」。3失点目は守備の乱れから許した。一方で、背番号1の中村心大(2年)をけがで欠いた投手陣の奮起には「2つ勝てたのは(3試合先発)中島(颯之介)のおかげ。経験を積めたのは大きい。山崎(哲生)も強い球を放れるので期待している」とうなずいた。収穫を生かし、夏に向けて1年生も交えたチーム全体の底上げを見据える。
目標に「プロ入り」を掲げる宇野も、「とにかく今の目標は夏の甲子園に出て、その上でアピールできるようにする。まずはチームのためにできることを探していきたい」と気持ちを新たにしていた。(雑誌『報知高校野球』取材班)
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