そこまで求めるのはまだまだ酷かもしれないが、それだけの期待を抱かせる存在だけに岡田監督もモノを言いたくなる。 「判定っていうかなあ。そんなん(普段の打席で佐藤輝が)ボールばっかり振ってるバッターやからなあ。選球眼のええバッターやったら審判も人間やからボール言うかも分からんで。こいつは絶対ボール振れへんてなればボールになるよ。機械やないんやから。そういう意味では味方につけなあかんわ。審判を」 場面は2点ビハインドの8回一死満塁の場面で起きた。マウンドには交代したばかりの2番手・島内。この日の甲子園が最も盛り上がった局面で打席に入ったのは佐藤輝だ。フルカウントからの6球目、外角の154キロ直球の見極めが勝負を分けた。見逃せばボールにも見える微妙な投球だった。だが、村山球審はストライクコールを告げた。
佐藤輝は右手を挙げ不服を表現した。虎党らもSNS上で「ボールじゃね?」などと批判なリアクションをみせた。だが、ストライク&ボールの判定は審判の判断が最終決定。そんなことは野球人なら誰もが理解している。 阪神で打撃コーチを務めた正田耕三氏はかつて、こんな話をしていた。 「俺も若手の頃はクソボールをベテラン審判にストライクって言われたなあ。『王さん、長嶋さんやったらボールかもな。悔しかったら結果を残せ』と言われたもんや。でもな、俺が首位打者(1987、88年)取った後、同じ審判に同じコースを『ボール』と言ってもらえた。『今のは正田ボールや』と。認めてもらえたと思ってうれしかったな」 昭和ノスタルジックにも聞こえる。高度に洗練された現代野球では絶対にありえない話なのかと言えば、そうでもないかもしれない。現役の審判団は決して明言できないはずだが、結果を残して審判を味方につけ、顔でボール判定をもぎ取る野球選手が存在することは間違いとは言わないだろう。...
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