99・9%、試合が終わったと思った時、抑えの則本が一塁に高投して、投ゴロの清宮が二塁に生きた。直後に水谷が左中間を破り9回裏2死二塁から、 日本ハム が同点に追いついた。1試合の中で満塁弾が交互に飛び交い、代打阿部の同点弾ありと、非常に派手な打ち合いに映る。しかし、そこに至るまでは初回村林が見せた進塁打に始まり、辰己のタイムリーで楽天がきっちり先制するなど、好調なチームらしい戦い方も見られた。
楽天からすれば、交流戦の優勝を弾みとして、リーグ戦再開に入っていきたい。それも当面のライバル、Aクラスの日本ハムに肉薄していきたい。交流戦で固まってきたチーム力を、リーグ戦でもしっかり発揮できるか。この試合は、その試金石となる位置付けだった。 今年で19回目の交流戦だったが、優勝チームから表彰選手が出なかったのは初めてのケースとなった。それは、裏を返せば誰か特定の選手が活躍したのではなく、チーム全員がまんべんなくそれぞれの役割を全うしたための快進撃とも言えた。ブレークした田宮の先発マスクを考えたファンの方もいたと思うが、ここはベンチのマネジメントと言える。山崎は伏見と組んだ前回登板の巨人戦で6失点している。いったん流れを変えるため、2軍で結果を出していた清水にチャンスを与えた。日本ハム・バッテリーは初回、小郷に盗塁を許す。山崎がモーションを盗まれていたが、清水からすれば重圧が増す。さらに2回も小深田に盗塁を許した。
山崎は今季、この試合の前まで73回を投げ盗塁企図数は4(うち1盗塁刺)。清水からすれば、もう走らせられないプレッシャーを受けながら中盤に入った中で、4回に浅村の盗塁を刺す。さらに5回も小深田の盗塁に対し送球がそれたが、水野が粘ってタッチアウト。この試合だけで4つ企図されたが2つ刺した清水の必死なプレー。反撃の口火を切る3回の内野安打も貴重で、及第点と言える内容だった。 この日は清水にとっては大勝負という位置付けだった。ふがいないプレーをすれば、またチャンスは遠のく。野球人生がかかっていたと言ってもいいほどの節目のスタメンマスク。試合は波乱の展開で延長戦の末に引き分けに終わった。(日刊スポーツ評論家)
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