渡米にはちょっとした経緯がありました。きっかけは25年の春、早稲田に復学して大学院で学んでいた戦友からの電話でした。講演会でアメリカ人からお茶の精神を教わったというのです。聞くと、第六軍司令官ダイク代将が、講演で茶道の話に触れて「千利休の『和敬清寂(わけいせいじゃく)』こそ、日本流の民主主義ではないか」と語ったとのことでした。私はびっくりしました。アメリカの軍人が日本のお茶を知っていて、利休居士の言葉を紹介した上に、茶道の精神は民主主義にかなうものだというお茶の神髄を理解していたのですから。利休居士が語ったお茶の中心ともいうべき大事な言葉です。まず「和」とは平和と調和のことで、私はこれを一体のものと考えます。調和があって平和になり、平和でなければ調和を作れません。「敬」は心から相手を尊敬すること、「清」は清らかなこと、「寂」は静寂であり、常に静かで動じない心持ちのことです。
私は感激してダイク代将に手紙を書きました。日本は戦後、急速にアメリカから民主主義を学ぼうとしましたが、もともと日本には茶道という民主主義があったのです。例えば、戦国時代でも武士は茶室に入るとき腰の刀を外しました。茶室では武士も商人もなく、皆平等なのです。私はどうにかしてアメリカに行き、あちらの人たちにお茶を紹介できないかと考えたのでした。当時、四条烏丸(京都市下京区)にあった司令部に行きますと、皆さんがとても親切にアドバイスをしてくださいました。準備は進み、翌年の1月に渡米できることになりました。 「なぜそんな早い時期にアメリカに行ったのですか?」とよく聞かれるのですが、やはり、アメリカと戦うために学徒出陣し、特別攻撃隊員となりながら生き残ったという自分の経験が大きかったと思います。戦友たちも戦いたくて戦ったのではなかった。そんな多くの仲間の無念を晴らすためにも、茶道の「和敬清寂」の精神、つまり平和と調和を重んじる日本人の精神をアメリカの人たちに伝えたいと思ったのです。《今も大切にしている身分証明書がある。パスポートのない時代、その紙切れがパスポート代わりだった》26年1月11日、茶道具一式を携えて私はアメリカに向け羽田を出発しました。師の後藤瑞巌(ずいがん)老師にいただいた「主人公」の色紙を持ち、ほかにレントゲン写真や健康診断書も必要でした。当時はまだ日本の航空会社の国際便はなく、パンアメリカン航空の飛行機でした。(聞き手 山上直子)
日本の伝統文化慣習守り抜くべし
敵のことは軍事の面だけでなく多方面から学ぶから?
ダイクが大統領だったら原爆も落とされなかったんですかね〜
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