「夢」の舞台で、子どもたちのヒーローになった。 日本ハム 伊藤大海 投手(26)が、6回1安打無失点で今季エスコンフィールド初勝利を挙げた。ツーシームやカットボールなどを効果的に使い、オリックス打線を寄せ付けなかった。チームは12勝8敗1分けとし、2試合を残して3・4月の月間勝ち越しが決定。ゴールデンウイーク初日、集まった2万7241人のファンへ最高のスタートを届けた。少年少女の憧れのまなざしを全身で受け止め、腕を振った。大型連休スタートの日。伊藤は6回1死まで安打すら許さず、本拠地エスコンフィールドで今季初勝利を挙げた。「ファイターズファンの方に気分よく連休に入ってもらうのはすごく大事なこと。いい形でスタートが切れて、ここから連勝スタートできれば」と胸を張った。
初回、小走りで向かったマウンドの上には、男の子がいた。始球式をはじめ、場内アナウンスやボールボーイ、子どもたちが1日体験するイベント。「少しでもかっこいいところを見せたくて」。ツーシーム、カットボールで小刻みにボールを動かしながら、大きく曲がるスイーパーを混ぜ8奪三振。初めて得点圏に走者を背負った6回2死一、二塁では、「球数的にもあそこが最後かなというのはあった。出し切るというか、出せる力をしっかり出すようにとは考えていました」。セデーニョを三直に仕留めて、笑顔でマウンドを降りた。 小学生の頃、「メジャーリーガーになる」と夢を持った。主催試合で子どもたちを招待する「大海シート」は22年から続けている。お立ち台では、インタビュアーを務めた男の子から「ヒーローになるためにはどうすればいいか」と問われ、「僕もいろいろな失敗をしてきて、その失敗からたくさんのことを学ばせてもらった。家族を信じていっぱい失敗して、いろいろなことを学んで欲しいです」と言った。順調ではなかった野球人生。努力、我慢を積み重ね、いま、12勝8敗1分けと好調なチームのエースとしての姿がある。
開幕から無傷の3連勝で、防御率も1・41でリーグ4位につける。「僕もプロ野球選手という憧れの存在に夢をあたえてもらった。今回僕らが逆の立場というか、みんなに夢と希望をもってもらえるようなそんな姿でゴールデンウイークもしっかり戦っていきたい」。最高の1週間の幕を開けた。【本間翼】
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