バブル時代前期の東京は、日本のそれ以外の土地には無いであろう不思議な傲慢さが溢れていた。若者も中年も皆、自分がいかに賢くて立派であるか大声で語るのだ。田舎者でアニメ(芸術、芸能系では間違いなく最底辺だった)だなんて、見えるものの中で下には地面しか無かった。(レイ・チャールズ自伝)
こちらの日常と紐づけられた異世界の森羅万象を創出するのだ。多くの人たちと寝食をともにしながら丸二年間。スケジュールぎりぎりでその量はしきい値に達した感があった。私がこの映画制作に与えた初期値と関数はたったそれだけ。果たしてこの空っぽの乾いた器に魂みたいなものは宿るのか? 結局、「魂」問題は不明のまま映画は公開された。世間の評価など知らないが、我々は誰もやったことのない方法で誰も行ったことのない処へ行く体験をしたのだ。卒業課題のペーパームーン効果の実験としてはパーフェクト! と言える。(卒業証書は逃したけど)私は満足して故郷の新潟へ帰った。 翌朝から毎日だったと思う。一日中、何もせずに古町十字路のベンチに腰かけて通りを行き交う若者を眺めた。(当時は二十代が歩いていたのだ)「この人たちはアニメなんか観ないだろうな」そう呟くと、急に、ものすごいことに気がついた。自分はあの映画を作った人というより中の人なのでは…
百人の人間の数年間という時間が一気に揮発し、客席へ匂ってくる瞬間。これは決して制作に関する知識が起こす感慨などではなく、刀剣や焼き物からも発せられることのある人の身体の匂いだ。もちろん、すべてのアニメ作品から感じ取れるものではない。そのことを意識して作られた一瞬だけがライブなのだ。
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