３４歳でチームの投手最年長となった菅野が、団結に一役買う。現役時代から新監督と共闘してきたからこそ分かることもある。「阿部さんはどっちかっていうと、聞きに行かないとあんまり教えてくれない」。裏を返せば、教えを請えば丁寧に答えてくれるということだ。尊敬の念を持っている。「やっぱり、ジャイアンツの顔。阿部さんよりも経験豊富な野球選手って、野球界を見渡してもいない」と先輩の訓示を真剣な表情で聞き入った。３年連続Ｖ逸からの巻き返しへ「やんなきゃいけないのは選手。一致団結して阿部さんを胴上げできるように」と力を込めた。
一方で今季限りで退任となった原前監督への思いも口にした。グラウンドでは選手と監督、私生活では伯父とおいっ子として喜び、悲しみを共有してきた。４日の最終戦後のセレモニーでは花束を手渡し、人目をはばからずに涙した。「嫌なことも言われたし、もちろん褒めてもらうこともあった。いろんなことを思い出して、寂しいなっていう気持ちがやっぱり一番でした」と率直な思いを明かした。 勝負の世界に身を置いても、原前監督から結果については「言われた記憶がない」。印象に残るのは、プロとしての姿だ。それが、現在の右腕を支える礎となっている。「戦う姿勢だったりとか、マウンドでの立ち居振る舞い、姿はやっぱり言われた。最初は『なんで抑えてるのにこんなこと言われなきゃいけないんだ』って思ったことあったけど、戦っていく中で大事だなって思った」と感謝した。
１１年目の今季は自己最少の４勝にとどまり、巻き返しにかける思いは強い。悲願の日本一をつかむことは原前監督への恩返しにもなる。「阿部さんをしっかり男にするぞっていう気持ちで。何かのために頑張るのはすごく大切なこと。僕はそういう気持ちになった」。新旧指揮官への思いを胸に、頂点を目指す。（小島 和之）
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