国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院教育学研究科実践データサイエンスセンターの寺澤孝文研究室は、潜在記憶の理論と新たなテスト原理を土台として、知識習得の効率化と意欲向上を実現する新しいタイプのeラーニング(MSS)を開発・運用しています。今回、各生徒のMSSの学習量と英検スコアのデータを解析した結果、1日5分程度のMSSの学習量の増加に伴って英検スコアが有意に上昇する研究成果が得られました(日本心理学会第87回大会で発表:2023年9月)。1日5分程度の英単語学習が有意な結果をもたらせた理由は2つあります。一つは新しいテスト原理による自動評価技術で、それについては同時 プレスリリース で紹介します。もう一つは潜在記憶研究をベースにしたユニークな学習法にあります。柏木学園高等学校のMSSは「かしみるメソッド(柏木見るだけメソッド)」と呼ばれているように、生徒には「覚えようとせず、見流す程度で学習をサクサク進めていく」ことが求められています。
一般に、時間をかけて覚えようとしないと記憶は残らないと思われていますが、それは一夜漬けの学習効果(顕在記憶)にあてはまることで、語学能力や資格試験の成績の基盤にある潜在記憶には覚えようとする/しないがほとんど影響しないことが学術的に知られています。このような潜在記憶の特徴を考慮して開発されたMSSは、従来の学習法や指導法と大きく異なる方法を採用しています。 さらに、柏木学園高等学校の教員が、岡山大学から毎週送信される学習量データを加工し、生徒の意欲向上に役立てる指導法も開発しました。岡山大学はMSSをモデルとして、新たなテスト原理と潜在記憶理論を教育系企業やNPO等を通じて普及させていくことを計画しています。本情報は、2024年5月23日に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。
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