この日は朝からの雨が予想されたため、前日のうちに、第1試合の開始が1時間遅れた。しかし、当日は降りやまず、さらに30分遅れの12時30分プレーボール。第2試合に組まれた明大−慶大2回戦は15時40分開始で、3回表の16時10分には点灯していた。コンディションづくりが、難しい試合だった。
9回表、最後の守りを控えて、采配の分岐点を迎えた。先発の蒔田稔が5回途中無失点と粘り、二番手の左腕・久野悠斗が6回まで踏ん張った。そして、7回表からが三番手で、右腕・浅利太門がリリーフし、2イニングを抑えた。ブルペンには4年生左腕・石原勇輝がいつでも行ける状態にあった。田中監督は9回の頭からスイッチする腹積もりでいたが、正捕手・小島大河に最終確認した。 「小島が『浅利で行かせてください』と。受けている捕手が一番、分かる。小島は早大1回戦で頭の中がこんがらかって、休ませて、菅原のリードを見させた。迷いなく、サインが出せている。日に日に信頼感が増し、彼にとって生きている」早大3回戦でも同じようなシーンがあった。浅利は2対0の7回裏からリリーフ。当初は2イニングの予定であったが、4年生捕手・菅原が「行けます」と田中監督に伝え、浅利は9回裏を無失点に抑えている。試合後、堀井監督は浅利の投球について「身長、角度がある。あの角度からの変化球、ボール球を振ってしまう。力感なく投げてくるので、打者はアジャストしにくい」と振り返った。
真上から振り下ろすストレートは、最速154キロ。慶大2回戦での最速は147キロ、アベレージは140キロ中盤も、慶大打線は差し込まれる。その理由は、俗に言うボールのキレにある。NPBでも平均2200回転と言われる中で、浅利は好調時にはMAX2650回転で平均2550回転という驚愕の数字をたたき出す。 追い込んでからは130キロ台中盤のスプリットチェンジが威力を発揮。DeNA・バウアーを参考に、落とすのではなく、タイミングを外す意図を込める。真っすぐと同じ腕の振りで投じられるから、打者のバットは空を切る。オリックス・山崎颯一郎の投球スタイルにあこがれ「リリースが高く、人とは角度が違う」という唯一無二の武器を磨いている。「自分が出てきてストレートを投げるのは、相手チームも分かっていること。だからと言って、全球、変化球でいけるピッチャーではありません。打者が張っても、打てないような真っすぐを投げていきたいと思います。上でやっていくには、NPBでも普通に160キロが出ている。自分も目指していきたい」「3年秋なので、結果が求められる。ヘマをしないように首脳陣、チームから信頼を失わないようにしていきたい。4年生3人が試合を作ってくれる。そのバトンをつなぐのが自分に求められる役割。ピッチャーの力が勝敗を左右する。最後を締められるようにしたい」あるNPBスカウトは浅利について「あの角度は魅力。来年の中心になるかもしれない」と評価し、細部までチェックを継続している。将来性高い大型右腕に対して、MLB
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