<破綻状態に陥ったベネズエラから逃げ出す難民たち。最後まで国に残っていた「社会的弱者」たちの決死行を追った>
コロンビアを抜け、エクアドルを経てペルーへ──3カ国に渡る旅路を歩き続けるベネズエラの母親と子供たち。道中には胸まで水につかる川や偽の案内人、強盗が待ち構える。母は入国管理の列の途中で子供に母乳をやり、駐車場で体を休め、行く先も知らないバスに揺られる。ニコラス・マドゥロ政権下でベネズエラが破綻状態に陥ったとき、最初に国を出たのは国外に職を求めた男たちだった。だがその後、女性や子供、老人も後を追わざるを得ないほど経済は悪化。もはや父親からの仕送りだけでは生活は立ち行かない。難民の増加は、野党指導者フアン・グアイドによる変革の希望がしぼんだことの裏返しでもある。アメリカによる制裁も、この国で最も貧しい人々を最も苦しめる結果となっている。トゥンベスの入国センターで娘ジェシー(2)を抱く。「グアイドには本当に期待していた。間違いなく国を変えてくれると思っていた」と、ラヤは言う。だが、ペルー政府がベネズエラ国民の入国を厳格化すると発表したとき、彼女は全てをなげうって娘とペルーに行くことを決意した。警察官になるという自身の夢も、家に残った最後の資産であるテレビも諦めた。「こんな所で死にはしない。き
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