英ケンブリッジ大学のピーター・ワダムズ教授が「2015年、北極海の完全解氷」説を唱えてから5年余り。ワダムズの予測は的中しなかったものの、解氷は「順調に」進み、人を寄せ付けない極地という北極海の印象は大きく変わりつつある。
氷が解けたことで、砕氷船の協力なしに航海ができる新たな交易ルートが開発された。手付かずの地域に眠っていた石油の開発が本格化し、エネルギー産業が勃興。人の往来が増えることで安全保障への関心も高まり、カナダやロシアは沿岸警備を拡充させている。商業面でも、氷山を「商品」に世界中の観光客を呼び込む機運が高まっている。フォトジャーナリストのユーリ・コズィレフとカディル・ファン・ロホイゼンは、不可逆的に変わり始めた北極圏を調査報道としてレンズに収めた。そこに映し出されたのは、よくも悪くも人間のにおいがする、人間による人間の、人間のための北極の姿だった。 Photographs: 【1】〜【7】: Kadir van Lohuizen-Noor for Fondation Carmignac , 【8】〜【13】: Yuri Kozyrev-Noor for Fondation Carmignac
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