日刊スポーツ 記者、フリーライターとして約50年にわたって阪神の戦いぶりを見続けてきた内匠宏幸氏。特に 岡田彰布 氏との縁は深く、6球団競合の末、早大からドラフト1位で阪神に入団した1980年に密着連載を担当した。その後も選手、コーチ、第1次監督時代を通じて精力取材を続け、監督としてリーグ優勝を果たした2005年も 日刊スポーツ 紙面(大阪版)で コラム を連載した。その野球観、猛虎愛に触れてきた内匠氏が「岡田の野球」を追います。4月28日の甲子園。連休で満員のスタンドが少しザワついた。1点リードの8回裏。1死二塁になったところで、ファンの目はネクスト・バッタースボックスに注がれた。そこで構えていたのは佐藤輝。2死になったところで、ベンチから監督の 岡田彰布 が出た。「代打佐藤輝」を告げる。そのアナウンスがあった瞬間、猛烈な歓声が上がった。ベンチには原口、小野寺という右の代打が残っている。「代打の代打」。これもありか。もしそうなれば、佐藤輝の心持ちはどうだったか。岡田はそこまでの対応はしなかった。そのまま打たせ、ここでも三振…。佐藤輝のこの試合の出番はこれで終わった。
翌日(29日)のスポーツ新聞。大山の時に起きた神風での勝ちに、沸き立つ紙面が並んでいた。佐藤輝の先発落ちは、代わりの糸原の活躍が大きく扱われ、佐藤輝の記事はわずかなものだった。もし試合に負けていたら、佐藤輝の昨年8月以来の先発外れは大きく取り上げられていただろう。横浜で三振ばかり。これを岡田はどう見ているのか。僕は甲子園に戻ったところで先発を外すと踏んでいた。ヤクルトとの初戦(26日)の試合前。岡田と話す機会があって、ズバリ聞いてみた。「あのバッター、何か変化を与える?」。ニヤリとして岡田は「えっ、どうやろな」と言葉を濁した。この時、すでに先発のメンバー表は書き終わっていた。 選手の起用法は監督の専権事項である。しかしコーチの考えにも配慮する必要がある。佐藤輝の現状、そこにコーチの意見。すべてを総合して、佐藤輝に猶予期間を与えた。そこから2試合の結果で、先発外しの結論に至ったのである。それでも28日のゲームの8回裏。チャンスで代打に送るなど、何とかキッカケをつかむようなシチュエーションを作っている。先に書いたように、あの場面、代打の代打となれば佐藤輝はズタズタになっていたかもしれない。そんなことはしないし、こんな状況でもモチベーションを保つような心配りをしている。
岡田が言葉にしたこと。実にシンプルで逆に聞き応えがあった。「ボールを振らないで、ストライクを打ってくれたらいいんです」。岡田のことだから29日の広島戦ですぐに先発に戻すことも考えられるが、今回の処置を佐藤輝がどう捉えるか。今が底なら、上がり目は十分にあるとみるのだが…。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)
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