ヤマハ『YZF-R7』のコンセプトは「Fun Master of Supersports」。走る楽しさを極めるスーパースポーツという意味だ。パワーに臆することなく躊躇なくスロットルを開けられて、コーナーを楽しみながらスキルアップできるマシン。サーキットだけでなくワインディングでも十分楽しめる懐の深さを持ったSSを目指したという。
エンジンと車体のベースは『MT-07』だ。トルクフルで扱いやすい水冷並列2気筒エンジンとしなやかなスチールフレームを受け継ぎつつも、前後サスペンションやフレーム各部を強化しフロント荷重を増やすなど車体のディメンションも最適化されている。タイトコースならR6ともいい勝負ができる 270度クランクの歯切れのよい鼓動とともに弾けるトルクが気持ちいい。基本的には低中速寄りのエンジンでアクセルに対する反応はリニアで力強く、それでいてスムーズの高回転まで吹け上がる。スペック的にはMT-07と同じ最高出力73ps/8750rpmだが体感的にはもっと出ている感じ。直4エンジンのような強烈なパワーの盛り上がりこそないが、そのぶんコーナー立ち上がりでもアクセルを開けやすく、早めに全開加速に持っていけるので結果的にトップスピードも伸びる。
ちなみにファイナルとマッピングで出力特性をMT-07より高速寄りにしているとのことで、試乗コースの袖ケ浦フォレストレースウェイではホームストレートで170km/h(メーター読み)を超えた。たぶん、直線が短いタイトコースではパワーに勝る同クラスの直4マシン、たとえばR6ともいい勝負ができるはずだ。 ハンドリングも軽快かつしっとり感があり、乗り始めてすぐに馴染むフレンドリーさがある。高速コーナーも安定感があり標準装着のS22も不安なくフルバンクまで持っていけるし、モノブロックラジアルキャリパーと2枚ディスクを備えたブレーキも強力かつ扱いやすくサーキットでも十分な制動力。今回はサーキット試乗のみだったが、ストリートでも軽い車体と適度なパワー、クセのない扱いやすいハンドリングを生かしてワインディングでも楽しく走れると思う。
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