前日計量と会見が3日、大阪市内のホテルであり、世界初挑戦の西田凌佑(27=六島)はリミットの53・5キロ、王者のエマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)は53・4キロで、ともに1回目の計量でパスした。西田は近大ボクシング部の同期で全日本女子を3連覇した(旧姓・河野)沙捺夫人の全面バックアップを受け世界ベルトをつかみにいく。
計量を終えたボクサーにとって至福の時間は栄養補給だ。西田は一気にかきこまない。昨年3月に結婚した沙捺夫人による特製「塩ちゃんこおじや」をゆっくりと味わい、愛情をかみしめた。おじやは王寺工高(奈良)時代にボクシング部顧問の高見公明教諭が計量後の選手にふるまっていた“なつかしの味”だ。夫人が近大時代から試合のたびに高見氏のレシピで用意してくれる。具は豚肉、白菜、ニンジン、キクラゲなど。減量を乗り越えた胃腸にやさしい逸品で闘魂注入された。 夫人は全日本女子を3連覇した実力者。練習でプロ男子を相手にしても4回戦レベルならパンチを当てさせなかったという。競技を熟知するだけに減量食にも選手目線の心配りがなされている。西田は「おいしいし、毎日違うものがバランス良く出てきて、減量している感覚がない」と絶賛。3月末に第1子の長女、莉奈ちゃんが生まれ、子育てに忙しい夫人の奮闘もあり「減量は今回が一番うまくいった」と感謝。戦闘態勢は整った。
サポートはもちろんボクシング技術や試合に臨む心構えにも及ぶ。不調の際は自身のスパーリング映像を見せて助言をもらい、王者ロドリゲスの印象についても意見を求めた。ほぼ専属トレーナーと呼ぶべき存在だ。“最強の援軍”を得ている西田は「(下馬評は)不利でも自分を信じてくれる人がいる。そういう人たちのためにも勝ちたい」と言葉に力を込めた。 (原口 公博)
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