エジプトの首都カイロから車で約30分南下すると、ナイル川沿いにあるスーパー「サンモール」に着く。外見は食品や洗剤など日用品を売る一般の店と変わらない。が、運営しているのは国防省傘下の「一般サービス局」。棚に並ぶミネラルウオーターや食用油も軍関連の製品だ。「軍が関わっているから他の店よりも安い。客も大勢来る」。男性店員が話した。
軍の経済活動は10年前の2011年2月、「アラブの春」の反政府デモで辞任した軍出身の大統領ムバラクが1980年代に本格化させた。それをさらに拡大させたといわれるのが、2014年に大統領になったシーシーだ。自らの出身母体で強権統治の後ろ盾である軍の重用が目立つ。 エジプトの経済専門家の間では、軍の経済活動は国全体の3割を占めるとの指摘がある。だが、軍を重用しすぎているとの世論を意識してか、シーシーは16年に「1・5~2%だ」と述べた。詳細は公表されておらず、実態は不明だ。 政府の公式サイトによると、国防省傘下の組織はサンモールなどのスーパー・チェーンを展開するほか農工業用品や化学品を製造し、道路や橋の建設も手掛ける。軍需生産省も日用品や農工業用品を製造するなど、民生分野に幅広く進出している。日本の商社員は「大規模な建設事業に軍が関わると、作業が遅れがちな民間企業も計画通りに働く」と評価する。新型コロナウイルスの感染拡大で民間が冷え込んでいるだけに、軍が国内経済の牽引(けんいん)役を果たしている面もあるだろう。
国防省傘下の「国家サービス事業協会」は1月中旬、「シーシー大統領の指示でコロナ対策の消毒薬のほか食料を安値で販売する車を国じゅうに走らせる」とのPR動画をネット上で公開した。シーシー政権は反体制派への締め付けを強めており、「軍は国民の味方だ」と訴えることで弾圧を正当化する狙いがちらつく。
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ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »