行われたG1サウジカップ(キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル=14頭立て)を取り上げたい。
世界最高賞金レースを制したのは、伏兵セニョールバスカドール(牡6歳、米・フィンチャー厩舎)だ。ウシュバテソーロとともに馬群から離れた後方に構えて、最終コーナーでは外めを回りながら進出開始。最後の直線、勢いよく伸びたウシュバテソーロが逃げ粘るサウジクラウンを捉えた。しかしゴール寸前、セニョールバスカドールがさらに伸びてまとめて差し切り勝ち。怒涛の逆転劇が展開された。勝ち時計は1分49秒50(良)。G1ペンシルヴァニアダービーの覇者サウジクラウンがしぶとく粘って3着。G1プリークネスSとG1ペガサスワールドCを制したナショナルトレジャーが4着と米国調教馬が続いた。 デルマソトガケ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)が5着。中団追走から上位の米国勢に取りつき、息の長い末脚で追い上げた。昨年のG1BCクラシック2着と後塵を拝したホワイトアバリオ(10着)には先着。改めて地力の高さを示した。
主催者からラップタイムの発表がないため道中のペースは推定するしかないが、追い込みの2頭で決着したことから、サウジクラウンの逃げは相当なハイペースだったと思う。識者によれば、2023年に逃げ切ったパンサラッサよりも速い流れだったという。デルマソトガケの逆転も十分あり得る。サウジカップのレース前に外傷を負った。調整は大変だったと思うが、それでも上位に食い込んで力を示した。昨年のG2UAEダービーを圧勝しており、メイダンのダート適性は証明済み。態勢が整えば、巻き返しがあっていい。 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。
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