してしまい、この時点で優勝戦への道は途絶えてしまった。道中も本来のシャープな足を繰り出せず、勝った佐藤励に大きく離されて6着でゴール線を通過した。
ロッカーへ戻ってくると、まずは共に戦った7人のレーサーたちにフライングで迷惑を掛けてしまったことを深く謝っていた。「クラッチ板を厚くしたことがフライングの原因だと思います。タイミングはいつもと一緒のつもりで切りましたが、ドンと出ていってしまいました。エンジンもだめでした。いろいろやってみましたが、仕下げてしまいました(仕上げるの反対の意)。全然進んで行かなかったし、参ったよ。直線が進んで行かないんだ。タイヤも良くなかった。評判のいい番号なんだけれど、どうしてかなあ~。しばらくはフライングをできないので、おとなしくしてなければいけないね。じゃあ、もう一度みんなに謝ってきます」 普段は気さくでフレンドリーな取材姿勢を示してくれる選手であっても、フライングや反則を犯した直後は言葉少なになる選手は多く、取材の声をかけにくい状況になるが、着替え終えてカーテンの奥から出てきた森は、本人から「あ~っ、やっちゃったよ~。クラッチだよ。もっと出て行くようにしたんだけれど…。行き過ぎちゃったね」とコメントを提供してくれた。
この業界に「森さんは人間としても尊敬できる」と話す選手が多いのは、こういう場面での人当たりの誠実さなのだろう。26日は大会最終日となるが、攻撃の手を緩めるつもりはないようで、「次節はシリンダーでも換えてみようかな」と最後は気丈に笑みを浮かべながら立て直しを宣言していた。
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