【インタビュー】「氷の城壁」阿賀沢紅茶さん 傑作リスト入り間違いなし 定型覆す対等な少女漫画 |秋田魁新報電子版

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※後段に一問一答があります。

A 2017年ごろに、趣味で描き始めました。当時、よく読んでいた電子漫画のアプリがあって、そこに誰でも投稿できるインディーズの枠があったんです。そこで「冬の恋愛漫画」みたいなお題で作品を募集していた時があって、本当になんとなく、応募してみようかなと思いました。そこで生まれたのが『氷の城壁』です。A 3話ぐらい描いたところで、何も考えていないままだと続きが描けないということに気付きました(笑)。そこでいったん、最後まで話をちゃんと考えたんです。素人っぽい、行き当たりばったりな感じで。仕事では絶対やっちゃいけない順序なんですけど。登場人物たちの過去のシーンを入れたかったので、中学ではこういうことがあって、高校ではこういうことがあって…と、時系列で出来事を箇条書きにしました。趣味で描いていたので、次の話の更新に2カ月くらいかかっていました。A...

Q 人と接するのが苦手な高校1年生の小雪が主人公です。高校での唯一の友人が、幼なじみの美姫で、ふとしたことから同学年で人懐こい男子高校生・湊と、心優しい陽太と出会い、4人が親密になっていく…という物語です。それぞれ個性的なキャラクターですね。 A 実は『氷の城壁』より前に描こうとしていた別の話があったんです。この4人は登場人物としてその時に誕生していました。だいぶ前のことですので、その話がどんな内容だったかは記憶がなくなっているんですけど…。当時は、こういう子がいたときに、近くにこういう人がいたら面白いみたいな感じで、バランスを組んだと思います。うろ覚えですけど。A それは連載中もよく聞かれました。特定のモデルがいるというより、こういうタイプの人ってこういう考え方するよねっていう要素を組み合わせて、イメージを固めていきました。実在の人からちょっとずつ何かもらったりして、キメラみたいな感じになっています。Q 小雪が湊のことを「かっこいい」ではなく、「かわいい」と表現することが多いのが特徴的ですね。

A “かっこいい”って、恋愛感情じゃなかったとしても、ちょっと自分より上な感じ、憧れに近い感じなのかなと思っていて。小雪と湊はもうちょっと近いところにいて、“かわいいね”というイメージでした。“かっこいい”で憧れて付き合うのがよくないというわけではなくて、この漫画では、“かわいい”の方がしっくりくると思いました。A...

Q 『氷の城壁』は、小雪たちの恋愛を描きながらも、友情の大切さを非常に重視しています。恋愛を「お弁当のトマト的な なくても凹(へこ)まないけどあるとあざやか」と評する場面もあります。これは阿賀沢さんのお考えでもある?A 主張をしたかったわけではなくて、純粋に書いていったらそうなっていました。でも例えば、恋愛しているときに、恋愛相手以外の友達と急に疎遠になるのは、現実だとちょっと見ていてバランスが悪いんじゃないかなと思うから、友達もいて、好きな人もいる人が、やっぱり幸せだと思っています。A “主人公サイドを苦しめたから、もうこの子たちは切っていい”みたいな一方的な感じで描きたくなかったのと、美姫ならこう言うだろうなって思ったんです。あと、小雪と美姫の性格が対極にあって、小雪は言葉にしてストレートに言うけど、だからといって“小雪が主人公だからいつでも小雪が全部正しい”みたいな存在にしたくなかったというのもあります。A...

 

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