「負けるかも、と思っていた」。決勝戦の相手はＳｈｉｙｏｔａ選手。１１月のプロ選抜戦を勝ち上がり、この日が公式戦デビューのルーキー。優勝候補を次々に撃破し、破竹の勢いで決勝まで上がってきた新鋭だった。「Ｓｈｉｙｏｔａ選手とは最近、別の大会で大差で負けていたので…」
しかし、ｆｒｏｎ選手は自分を奮い立たせた。「今日はいい“ぷよ”ができているから」。２０１８年のＳＥＡＳＯＮ１からプロを続けてきた“先輩”としての意地もある。５ポイント先取の２セットマッチ。開幕から３ポイントを連取し、最初のセットを奪った。 だが第２セット。ミスを連発し、２―２から３ポイントを連取されイーブンとなった。「優勝直前になり、甘えてしまった。逃げ気味になってしまった」。もう一度、気合を入れ直した。「意識を変えて“自分のぷよ”をやるだけ」。大連鎖を構えつつ、逃げ道を複数用意するハイブリッド作戦。相手の速攻にも盤面を凝視して対応した。最終セットは５―２。追いすがる新人に貫禄を見せつけた。「今まで練習してきたことができた。いい内容だったと思います」
“ｆｒｏｎ積み”と呼ばれる定型テクニックの創始者。「土台をしっかり積んで、終盤に強い陣形。僕のことを知らない人も、『ｆｒｏｎ積み』は知ってくれているのがうれしい」。誰もが認める実力者だが、意外にも公式戦の優勝は１８年の「ぷよぷよカップ」以来。賞金制の「チャンピオンシップ」では初優勝だった。
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