BioWareは、SFアクションRPG『Mass Effect』シリーズやファンタジーRPG『Dragon Age』シリーズの開発で知られるカナダのゲーム開発スタジオだ。『バルダーズ・ゲート』を始めとして、RPG作品の制作に定評がある。一方で、2019年に発売されたオンラインアクションRPG『Anthem』は、リリース直後からゲームの品質についてユーザーから批判が殺到。再開発プロジェクトを掲げるも、のちにそのプロジェクトも中止に至るなど厳しい経緯を辿った。同年には、同作の開発難航について海外メディアKotakuがスタジオ現・元従業員たちの証言を報道している(そして今回Mark Darrah氏が投稿したのは、BioWareマジックなど存在しないと断じる動画だ。Darrah氏はBioWareにて1997年から約23年間にわたり務めあげたベテランで、2020年末に同スタジオを退職している。同氏は『Dragon...
しかし、同氏はこうした開発進捗について「ひどいでしょう」と一蹴した。理由として、転換点を境に開発が加速するとしても、その加速度合いが読めない点を挙げた。また、肝心の転換点が開発のどの段階で来るかもわからず、永遠に転換点が来ないかもしれないとも指摘。偏った開発進捗によって、ゲームをテストして成果物を正確に把握する機会が失われると訴えた。そして、「“BioWareマジック”は単にクソのような開発プロセス」と語気を荒げて断じている。また、こうした現象に名前をつけて頼っても、何の意味もないとコメント。そして、“マジック”に頼ることで、開発後期に残業や長時間勤務が発生する現象であるクランチを招きかねないとしている。つまり、BioWareマジックは開発の実態をごまかす有害な迷信だと伝えているのだ。
語気を強める同氏は、「私がBioWareを責めてるように聞こえるかもしれませんが、その通り。責めています」としつつ、この問題は同スタジオ以外のゲーム開発現場にも存在すると指摘。発売当初の品質問題で返金にも至った『サイバーパンク2077』開発元のCD PROJEKT REDを例として挙げながら、多数の作品が同じ問題を抱えたプロセスで開発されているとの見解を示している。また、転換点まで開発が加速しない理由については、納期への焦りや資金の問題などがあるかもしれないとしつつ、正直わからないと言及。しかし、可能な限り早期から成果を上げる開発プロセスの構築をしてほしいと告げている。 さらにDarrah氏は、前述の『Anthem』についても語り始めた。同氏は、同作の開発に関わったリーダーシップ層は、過去タイトル開発時の経験を忘れられずにいたと指摘。たとえ前回の“マジック”から長い期間を経ていても、急速な進捗がまた起こると信じるような傾向があったとの見解を示している。動画の最後にDarrah氏は、現在BioWareで働く開発者に向けて「“BioWareマジック”なんて言葉を使うな、ただの悪い開発プロセスだから」とバッサリ。開発プロセスを改善すればそんな言葉は必要なくなると訴え、大きなため息をついた。
Darrah氏の言葉からは、脈々と伝わったBioWareマジックの実態が伺えた。また、迷走するプロジェクトをまとめ上げた人物である同氏の、スタジオ在籍時の苦心も感じさせる内容だ。BioWareは現在『Dragon Age』新作を開発中。『Anthem』にまつわる一連の出来事で魔法も解けたであろうBioWareが、どのように新作の開発を進めているのか、気になるところである。
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