原作の感想のようになってしまいますが、部長になったことによる、いろいろな試練などを描いていきつつ、(未来の)久美子がどういう道を選ぶのかも描いていけたら良いなと思っていました。今回は、何度も演奏シーンを入れるのではなくて、今、お話ししたように、今回のメインは久美子の部長としての苦労話になるので、そちら主体の描き方で行こうという話になりました。はい。例えば、(第4回の)「サンフェス(サンライズフェスティバル)」のマーチングのお話に関しても、今までだったら、少しだけでも演奏シーンがあったりしたんです。でも今回は(月永)求の話の方を描いている。そういう形で、よりドラマ主体の構成になっています。見せたいものをはっきりさせて、演奏する場合はより意味合いを考えて効果的に、ということを意識しました。麗奈は、何としても全国で金賞を取りたいし、(自分が)努力家の天才型なので、「みんなも練習すれば確実に成長する」みたいな考え方。久美子も、金賞は取りたいのですが、部長なので、部員たちのケアとかもしていかなきゃいけない。そういうところの考え方の違いがあって、物語の後半では喧嘩もしますが、2人がああいう風に喧嘩
今、「曲げない」と言ったように、麗奈はガチッと固い子なんだけど、いつか、どこかでぽきっと折れそうな感じもあって。そういう危うさも麗奈の魅力かなと思うので、そこは意識していました。第12回では、彼女的に自分を曲げなかったけれど、心はちょっと折れちゃっていたのかもしれませんね。これは僕の考えというか、ただの想像ですが。(第9回で)麗奈が「部長失格ね」と言ったところ。あそこは久美子の視点でしか描かれていないわけですが、たぶん、麗奈は「ああ、久美子に言ってしまった。どうしよう……」とか思っていたんじゃないかなと。僕はそう思っています(笑)。――(全国大会での)ユーフォニアムのソロ奏者を決めるための覆面オーディションと、その結果は、アニメならではの展開になっています。このあたりの流れは、やはり構成の段階から考えられていたのですか?はい、構成からですね。久美子と(黒江)真由の2人だけのオーディションを行って、最終的に久美子が負けるという展開は、初期の打ち合わせの段階から挙がっていました。(シリーズ構成の)花田(十輝)さんが、原作準拠版とアニメ版の2案の構成を出してくれました。
元々、僕はどんな作品でもそうなのですが、原作準拠型の人間なので、最初にそのアイデアが出た時は色んなことを考えましたが、最終的には、北宇治のあるべき姿や久美子の成長などをより分かりやすく描ける展開を採りました。――アニメの場合、この展開にすることで、北宇治が全国大会で金賞を取るまでの物語の中、さらにたくさんの要素を描けると考えて決断したわけですね。あと、久美子と麗奈は、卒業後は別々の道へ進むことになるのですが、たぶん麗奈は、久美子にも奏者の道に来て欲しかったのだと思うんです。でも久美子は、部長になったことも関係しているのかもしれませんが、指導者の方に興味が向く。そういった久美子の心の変化を描くのにも、アニメではこの展開の方がより分かりやすいだろうと判断しました。石原:
――中学生のときに麗奈が言った「悔しくって、死にそう」というセリフを、『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』で久石奏が言い。今作で、ついに久美子が「死ぬほど、悔しい」と泣く。この流れもアニメならではですね。
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