「“逃げる”ことを怖がらないで」── 『うつヌケ』著者・田中圭一インタビュー(後篇)

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「『自分の責任だと思っていること』を減らしなさい」(『うつヌケ』p.118)との言葉にもつながりますよね。人に感謝をすることは、自分の責任を減らしていくことでもある。

:そういうことなんでしょうね。人間、普段の生活のなかで自分を俯瞰することなんてなかなかない。僕は10年のうつ病生活のなかで、いちどだけカウンセリングを受けたことがあるのですが、カウンセリングの良さは自分のことを客観的に見てくれることだなと感じました。:僕がカウンセリングを受けた時は、うつの真っ最中でした。ですから、カウンセラーには「こんな酷い目にあった」「こんな嫌なやつがいた」と、おもに愚痴を話したんです。いま思えば、それも被害妄想だったのかもしれない。するとカウンセラーはこう言いました。「それは大変でしたね。では次に、いまの田中さんがあるのはこの人のおかげ、と感謝の気持ちを話してみてください」

僕はとっさに「そんな人はいません。いまの立場にいるのは自分の実力ですよ」と答えました。だけどカウンセラーは「そんなことないでしょう?」と粘り強く訊いてくる。そのときに初めて、自分が意外と恩知らずで薄情なやつだと気づいたんです。その思い込みは、仕事の失敗をぜんぶ自分のせいにしてしまう考え方にもつながっていました。:それ以来、仕事をする上で、ほかの人が貢献してくれたことに対して自然と目がいくようになりました。助けられたことには感謝をして、さらには恩返しができたらいいなと。『うつヌケ』のあとがきにも書きましたが、僕は偶然1冊の本に出会って助かったので、今度は誰かを助ける偶然の1冊を作らなきゃという気持ちになったんです。──『うつヌケ』のエピソードのなかには、「○○しなければならない」という思い込みを持たないようにしよう、との教えがあります。たとえば、フランス哲学者である内田樹さんの事例には、「結婚式と葬式を休みなさい」(p.

僕がうつになったきっかけも、誰かにいじめられたとか嫌なことを言われたとかではなく、自分に合わないことを無理やり頑張って続けていたからなんです。自分が会社の中で役に立つことを示して、相応の給料をもらいたい……。だから会社からリストラを言い渡されたときに、ようやく解放された気持ちになったんですね。 「逃げる」ことは決して悪いことじゃない。自分が周囲を変える力を持っていない限りは、自分の居場所を変えたほうがいいんです。明らかにうつの原因がわかっている──たとえばストレスになっている上司や同僚がいる場合ならなおさら、そんな人は相手にしないですみやかに逃げてしまったほうがいい。うつは「幽霊」ではなく「妖怪」だ

 

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