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「9秒8」狙う桐生のシューズに「蜂の巣」…変革のヒントは航空機 科学・IT

スポーツ用品大手「アシックス」(神戸市)の最先端シューズ「メタスプリント」の靴底は、蜂の巣のような構造だ。トラックをとらえる鋭い金属のピンは一本もない。従来品にない型破りのデザインは、同社の谷口憲彦さん(46)が率いた開発チームが生み出した。「ピンをなくせばいい」レース中、靴底には0・1秒未満の瞬時に、体重の約4倍もの負荷がかかる。押しつけたり、ねじったり、負荷がかかる方向も様々だ。この複雑な力にも耐えて、地面をしっかり蹴る靴裏をどう設計するか――。ただ、アイデアを実現する材料がなかった。アルミや樹脂は弱く、鉄は重すぎる。暗礁に乗り上げた。そのころ、カーテン製造で国内大手の繊維メーカー「サンコロナ小田」(大阪市)は、炭素繊維を樹脂で固めた強化プラスチック「フレックスカーボン」の開発に成功していた。強い力に耐える柔軟性と、細かな形に加工できる可塑性を兼ね備える。金属並みの強さながら、重さは半分以下だ。そんな両社が16年、思わぬ形でつながった。谷口さんの大学院時代の研究仲間が、フレックスカーボンを売り込んできた。フレックスカーボンに技術を提供しているという。メタスプリントを最初に履いたのは

 

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