親と家を失い、路上で寝泊まりするストリート・チルドレンのことを北朝鮮では「コチェビ」と呼ぶ。彼らは首都・平壌にいることそのものが違法だ。革命の首都のイメージを乱すからだという。障がい者も同じような理由で平壌から追放された。
先月末に平壌へ出張した咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、郊外の西城(ソソン)区域の長慶一洞(チャンギョンイルトン)の親戚の住むマンションに6日間滞在した。そのマンションには年の頃12歳から15歳くらいの3人のコチェビが出入りしていた。「地方からやってきたコチェビをマンションの地下室で住まわせる代わりに、人民班(町内会)の様々な社会的課題(動員)や作業をさせている。管理は人民班長(町内会長)が行っている」一方で3人には「泥棒をしない。他のコチェビを連れてこない。昼間はできるだけマンションの周囲をうろつかない。トラブルを起こさない」などの誓約をさせているという。 ただし、他の人民班と共同で行う作業の場合、彼らの存在がバレてしまうおそれがあるため、注意が必要だ。もしバレればコチェビは登録された元の居住地に送り返され、人民班長はあれこれ追及される。それでも、おおごとになる前にコネやワイロでもみ消すので問題になることはあまりないようだ。別の情報筋の兄が住む、龍城(リョンソン)区域のマンションの地下室には、推定14歳のコチェビが2人住んでいる。彼らは、人民班の人がやりたがらない、ゴミ捨て場の掃除、ゴミの処理、雪かきなどを行っている。元来、コチェビの「ねぐら」と言えば市場やゴミ捨て場、駅前の片隅の雨風と寒さをしのげるところが一般的なので、地下室は非常に快適なところだろう。また、優しい住民の配慮で衣食に困らず、連行されるリスクも少ないなどのメリットもある。「社会的課題と作業で人民班の人々を動員しようにも難しいので、人民班長は窮余の策としてこのような手法にたどり着いたようだ」(情報筋)
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