「自分で決める」灘高に商売人気質脈々 和田孫博さん: 日本経済新聞

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「自分で決める」灘高に商売人気質脈々 和田孫博校長

わだ・まごひろ 1952年大阪市生まれ。65年灘中学校に入学し、中学・高校の6年間を過ごす。76年に京都大を卒業。大学在学中の教育実習をきっかけに、灘中学・高校の英語教諭に。野球部の監督も務めた。2007年から同校校長。1927年の創立当時、阪神間は大阪の裕福な商売人が多く住んでいた地域。教育熱が高く、東京高等師範学校(現筑波大)の校長を務めた嘉納治五郎先生が、地元・灘の造り酒屋の出資によりこの学校をつくった。柔道家としても高名だった嘉納先生は校是に柔道の精神「精力善用」「自他共栄」を掲げた。自分のできることを最大限にやって、それぞれが頑張ることでみんなが幸せになる世界をつくるという精神だ。

設立当初は地元の生徒がほとんどだったが、現在は岡山県や愛知県から新幹線で通学する生徒もいる。入試があり成績的には均質だが、個性はとんがっている生徒が多い。趣味や興味の向くところがそれぞれ違うせっかくの個性なので、とんがったままで丸めないで育てる教育を心がけている。中学入学時から教員7~8人でチームをつくり、6年間そのまま持ち上がる。生徒と教員のつながりは強く、それぞれの個性も分かる。卒業生の特徴として、大きな会社でじっとしているよりも途中で飛び出して起業するなど、小さくても組織のトップに立つ人が多い。商売人と言っても単にお金に渋いとかではない。自分でやりくりをすることで責任も大きいが、その分喜びが大きい。そういうやりがいを大事にする気持ちが強いのだと思う。私自身、大阪市福島区の水産加工品販売店の息子で、商品の配達など家業の手伝いもしていた。灘中に入学したのは親が良い学校があるとどこからか聞いてきたからだったと思う。まだ倍率が2倍くらいで、今ほど激しい受験競争はなかった。

英文学に興味を持ち京都大文学部に入学し、研究者の道も考えたが、どうも黙々と本を読んで論文を書くというのは自分の性分に合わない。そう感じていたところ、母校での教育実習で「空きがあるよ」と誘われた。教員も教室内では自分の方針で自由にできる裁量が大きく、ある意味、商店主に近いと感じる。灘では、まず問いを提示し、生徒が答えを考えて臨む「反転授業」を取り入れる教員が多い。例えば中学2年の歴史の授業では、平清盛は貴族政治と武家政治どちらと言えるのか、という問いを教員が与え、生徒が自分なりに考えた上で授業に臨む。答えがどちらなのかよりも、考える過程を大事にしている。 これまで日本では教わったことを知識として身につける復習型の授業が多かった。しかし、これからの時代は答えのない問いをどう考えていくか、その力が問われる。新型コロナウイルス対策も、誰も正解がわからない中で考えなくてはいけない。問題に直面したときにこそ、自分で答えを導き出す考え方が生きる。

昨今「アクティブラーニング」の重要性が強調されているが、灘ではそうした教育を昔から続けてきた。時代の変化にも対応できるような人材がこれからも育っていくと期待している。今の時代こそ、一人ひとりが得意な分野を見つけ、多様性を生かしながら活躍していくことが大事だと思う。(聞き手は玉岡宏隆)

 

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