俵で快進撃を続けている。十両土俵で意地の9連勝だ。遠藤は、獅司の押しに耐えて左四つで組み止めると、前に出た相手に最後は右上手出し投げを決めた。激しい攻防で館内を沸かせると大きく息を吐き、「相撲を取った気がした。久々に動いたかもしれない」とクールに振り返った。1場所での再入幕にも大前進。それでも「毎日いっぱいいっぱいなので、それどころではない」と必死さを強調した。
13年春場所(幕下10枚目格付け出し)で初土俵を踏み、昭和以降では最速の所要3場所での新入幕。ざんばら髪のスピード出世で人気を博した。三役経験のある33歳は、両膝負傷の影響などで16年春場所以来、約8年ぶりに十両へと番付を下げた。実力者の十両転落は、一歩間違えば進退を判断することにもつながりかねない。今場所は初対戦の力士も多いが、「あまり気にしていない。それより自分の体を気にしている」と先場所まで両膝に施していたテーピングを外して奮闘。師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)は「けがの不安は常にあるが、勝っていると痛みも軽減される。ここ1年は今場所で終わるかもしれないという思いでやっている」と弟子の苦闘ぶりを代弁した。
2月には大の里、十両・輝と能登半島地震で被災した出身地の石川県を訪問。故郷への思いを改めて問われると「僕ができることを精いっぱいやる」と力を込めた。地元に元気を届けるため、まだまだ老け込むわけにはいかない。後半戦も初夏の土俵を盛り上げていく。(山田 豊)
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