1月1日に起きた能登半島地震によって、原発に対する不安がさらに大きくなったという人は少なくないだろう。事実、震度7を記録した石川県志賀町に位置する北陸電力志賀原発がもし稼働していたら、福島第一原発事故に匹敵する最悪の事態となっていただろうとも言われる。
そもそも、日本には原発が多すぎる。なにしろ2011年の東日本大震災発生前、この狭い国には54基もの原発があったのだ。事故後には21基の廃炉が決定したが、2023年9月時点で12基が再稼働。推進派の意見もいろいろあろうが、あれだけの事故を起こしていながら、今なお原発を止めることができないというのは明らかに不自然だと思う。(青木美希・著、文春新書)の著者も、そのことに言及している。それなのに政府は、東電の「汚染者負担の原則」をないがしろにし、事故処理にかかる莫大な金額を私たち国民に押し付けている。なぜここまでして東電をかばうのか。(「はじめに」より)そして、電力会社が"村長ら"へ巨額献金をしてきたことも、いまや多くの人々が知るところだ。たとえば本書にも、次のような記述がある。
2014年7月、関電で政界工作を長年担った、内藤千百里(ちもり)元副社長(当時91)が、少なくとも1972年から18年間、在任中の歴代首相7人に「盆暮れに1000万円ずつ献金してきた」と、朝日新聞に証言したのである。また、自民党有力者らに毎年2回、盆暮れのあいさつと称して各200万〜1000万円の現金を運ぶ慣行があったと明かし、政界全体に配った資金は年間数億円に上ったと語った。1974年に電力業界が癒着の批判を受けて企業献金の廃止を宣言したのちも続いていたことがうかがえる。【話題の記事】
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