東京電力柏崎刈羽原発をめぐり、新潟県内の全市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務担当者会議が10日、長岡市で開かれた。代表幹事の磯田達伸・長岡市長は冒頭のあいさつで、柏崎刈羽原発で冬期に事故が起きた場合に放射性物質がどう飛散するかや、住民の被曝(ひばく)がどうなるのかに関するシミュレーションの必要性を指摘。「柏崎刈羽原発で事故が起きた時のリアルなシミュレーションをしないといけない。住民から問われた際に『その時に国が考える』なんて話をするわけにはいかない」と語った。原子力規制庁は4月以降の「屋内退避」に関する検討作業の中で、福島第一原発事故を踏まえた安全対策を施した原発で、事故が起きた場合のシミュレーションを実施することにしている。磯田市長の発言はこの作業を踏まえたものだ。規制庁は実在する原発ではなく、仮定のモデルを対象に実施する予定だが、磯田市長は、会議から途中退席後、記者団に「柏崎刈羽原発で事故があった時、どの範囲でどの程度の期間、屋内退避しなくてはならないのか、具体的なシミュレーションをしてもらいたい」と重ねて強調した。これに対し、規制庁の担当者は朝日新聞の取材に「本
東電との質疑では、小千谷市の担当者が、7号機再稼働に関する東電の「住民の理解が前提」との主張について、「理解を得たと判断する指針のようなものはあるのか」と質問。東電は「基準があるものではない。経緯や状況などを踏まえて判断が求められる時があると思う」と述べるにとどまった。 また、能登半島地震で事故に対する県民の不安が高まっていることを背景に、長岡市の担当者は「東電が自ら地層・断層を調査し、県民に説明すべきだ。その姿勢がないまま、燃料装荷(そうか)に進み、再稼働の準備を着々と進めている。県民の理解や信頼を得るという点においてバランスを欠いている」と指摘した。 規制庁との質疑では、新潟市の担当者が屋内退避の検討に関連して「情報を市町村にも共有してもらいたい。市町村の意見を反映してもらいたい」と求めた。また、小千谷市の担当者は「地震では消雪パイプなどが破損することも想定される。災害が複合的に起こることを前提に避難計画などを見直す必要がある」と語った。
県が「再稼働への判断にあたって、立地自治体以外の自治体の意向を取りまとめ、意思表示を行う」との考えを示している点に関しては、長岡市の担当者が「意向の取りまとめについて、現時点での考えは」と尋ねた。県側は「安全対策研究会の意向を踏まえて今後検討する。知事は議論が進む中で、首長の皆さんともコミュニケーションを図っていきたいと発言している」と答えた。(戸松康雄、井上充昌、白石和之)
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