関西の動物園として天王寺動物園(大阪市天王寺区)や王子動物園(神戸市灘区)が長年人気を集める中、西日本で最も古い歴史を持つのが京都市動物園(京都市左京区)だ。明治36(1903)年の開園から今年で120年。来園者に笑顔を届けてきたが、実は研究機関としての稀有(けう)な側面も持つ。今、取り組みを進める一つがアニマルウェルフェア(動物福祉)。歩みを止めない、古都の「考える動物園」に迫った。「パオーン」「モーッ」。動物の鳴き声と子供のはしゃぎ声でにぎやかな園内。人だかりからガラスで隔てられた室内で、分厚い胸板のニシゴリラがモニター上の数字を1から順に人さし指で触って消していく。全ての数字を消すとリンゴが与えられ、ゆっくりと口に運んだ。「動物ごとに認知機能の違いを調べているんです」。坂本英房園長(63)が解説する。
京都市動物園がこうした研究に乗り出したのは京都大と協定を結んだ平成20年にさかのぼる。これを機に国内で初めて教員が常駐する動物園になると、25年には研究を専門とした部署が設立。30年には文部科学省に研究機関として指定され、科学研究費補助金(科研費)の申請資格を得た。大正天皇のご結婚を記念し、市民からの寄付金約1万4千円を含めた約3万円をもとに、上野動物園(東京)に次ぐ国内2番目の動物園として設立された京都市動物園。しかし他の動物園と同様、先の大戦が影を落とす。連合国軍総司令部(GHQ)による敷地接収を経て、何とか再スタートを切ったが、終戦後の園の役割は「来園者を楽しませるためのレジャー」(坂本園長)。自転車に乗るチンパンジーやラッパを吹くゾウなど、時代を物語るショーを次々と打ち出した。■人間も循環の中に
動物の幸せとは何か−。こうした疑問の解決に向けた取り組みの一つが京大との連携だった。人間に触られるテンジクネズミの成分からストレスの度合いを確認したり、ゴリラの居住環境にアニメーションを投映して反応を確認したり。動物の感情に科学的にアプローチする中で、坂本園長は「動物が幸せでないと本来の魅力は伝わらない」と思い至った。 新機軸を打ち出したのは令和2年。世界的に動物福祉が重視される潮流を受け、独自の指針を策定した。限りある飼育スペースでも動物本来の行動ができるようにしたり、健康管理や治療がしやすい動作を自発的にしたりするよう訓練する「ハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)」の実践を掲げた。 動物の幸せには人間も含まれる。園は今年、餌に使う茶殻の提供を受ける飲料メーカー「伊藤園」(東京)と実証実験を開始。麦茶殻を食べたゾウのふんと緑茶殻を混ぜた堆肥は栄養価が高いことが分かっており、この堆肥を伊藤園を通じて茶農家に配る計画だ。
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