エマニュエル駐日米大使が3日、産経新聞のインタビューに応じた。エマニュエル氏は、中国で相次いで高官が動静不明になったり、外国企業幹部が拘束されたりしていることを念頭に、「中国は大国に求められる透明性と説明責任を欠いている」と批判した。東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出を巡り、中国が科学的根拠を示さず反対し続けていることについては、「日本を孤立させようとして中国自らが孤立した」と語った。
中国で今夏以降、外相や国防相ら要職の動静が突然途絶える事例が続いた。日米などの企業幹部の拘束も頻発している。エマニュエル氏は「中国は数百の核ミサイルを保有する国だ」とし、「世界のリーダーという肩書には率直さと透明性が伴う」と指摘。中国が大国を自任するのなら、対外的な説明責任を果たすべきだと強調した。 エマニュエル氏は、中国が自国への輸入規制を実施して、相手国を揺さぶる「経済的威圧」を常套(じょうとう)手段にしていると問題視。中国当局は、福島産のみならず全面的に日本産を輸入停止にしたが、中国漁船が日本周辺海域で操業を続けており「偽善的」だとした。処理水放出で日本政府は「科学的根拠に基づき、十分な透明性をもって、国際社会と協調して行動した」と述べ、支持する立場を改めて表明した。8月に岸田文雄首相とバイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が米国で行った首脳会談を巡り、エマニュエル氏は「極めて重要な出来事だ」と称賛。日米韓が幅広く協力を深め、フィリピンなど地域各国とも協力することで、北朝鮮の核・ミサイル開発や台湾有事を含む脅威に対する「抑止力を高められる」と話した。(塩原永久)
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