海自がペルシャ湾に掃海艇を派遣するというので、「週刊文春(文春)」の取材で現地に行くことになったんです。(自衛隊が初めて本格的に海外派遣され、道路整備などで貢献した)カンボジアでの国連平和維持活動(PKO)の前年で、まだ自衛隊の実動部隊の海外派遣に否定的な雰囲気のころでした。
(イラク軍による侵攻を受けた)クウェートが米国の新聞に出した感謝の広告に、日本の国旗がなかったのです。これでやっと政府は重い腰を上げ、戦争終結後に海自の掃海艇を派遣した。当時は機雷の掃海作業がとても危険な仕事という認識があまりなく、文春の編集者は私が送った原稿を「機雷モ見エズ、雲モナク…」と、軍歌(勇敢なる水兵)の一節、「煙も見えず雲もなく…」のパロディーにしたんです。 そのときの一人称が最初、「宮嶋三等兵」でした。漫画「ロボット三等兵」から取ったんですね。でも「宮嶋三等兵、かく戦えり」では語呂が悪い。それで「不肖・宮嶋」にしたんです。「不肖・宮嶋、かく戦えり」みたいに。だから「不肖・宮嶋」と最初に付けたのは西川さんと勝谷さんで間違いありません。勝谷さんはずっと「名付け親は自分」と言ってました。まあ勝谷さんで構わないんですけど…。それにしてもそのときの文春の原稿はすごかった。ひとつひとつが詩のようになっているんです。これは勝谷さんの才能でしょう。
(勝谷氏のあとがきには)特に何も感じていません。すでに「不肖・宮嶋」の名前で、みなさんによく知っていただいていたので。それにあの本は「構成・勝谷誠彦」になっており、「まあそれでいいか」と。あの本の出版以降、勝谷さんは忙しくなり、その後の原稿は全部自分で書いています。
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