」では、ゲームを中断してもマイナス要素は特にありません。それどころか、ゲームをいったん中断すると休憩バーが表示され、休憩が終わった後は入手できる経験値が2倍になるというボーナスが採用されています。つまり、World of WarcraftはゲームのUXが「休憩を挟んで遊ぶ」というプレイスタイルとリンクしてデザインされているというわけです。倫理的なUCデザインは、ゲーム開発者による自主的な規制に基づいて行われているのが現状です。こうした自主規制に基づくUXデザインは、予算と収益を優先的に考えるビジネスでは重要視されません。また、「フォートナイト」のような無料で提供されるゲームは「無料で遊べる」「無料で高画質なゲームを遊べる」「無料で高画質なゲームをずっと長く遊べる」と、プレイヤーが要求するハードルが高くなっていくために、ますますゲームデザインがプレイヤーを引き留めようとするものになります。
そして、この流れはゲームの公正性にも大きな影響を与えます。例えば、もし20時間かけなければゲットできないアイテムがあったとして、大人であれば「そのアイテムを入手できないのは大したことではない」とゲットできないことを正当化できますが、子どもは一度欲しいと考えたらなかなか気持ちに折り合いをつけることができません。例えば、「フォートナイト」の のような課金アイテムの場合、一部のプレイヤーは「お金なら持っているから、1万ドルくらい払う」と考えても、プレイヤー全員が1万ドルをぽんと払えるわけではない、とHodent氏は主張しています。ゲームが子どもをターゲットにしているのであれば、ゲームの公正性についてもっと深く考える必要があるとHodent氏は述べました。
倫理的で公正なゲームデザインを行うためには、非常に難しいことではありますが、開発しているゲームのターゲットが誰なのかを把握する必要がある、とHodent氏。子ども向けで倫理的なゲームデザインが行われている例として、Hodent氏は任天堂の「 」を挙げています。「どうぶつの森」は、プレイヤーが一通りやるべきことをやったら一定時間が経たないと何もやることがなくなってしまうように設計されています。これはゲームを何時間も続けてプレイすることに報酬を与えないようなデザインであり、少なくとも休憩を取ることがプレイヤーにとってマイナス要素になっていないとHodent氏は指摘しています。