【アバエテトゥバ(ブラジル)AFP=時事】ブラジルの熱帯雨林アマゾンで、ヤシ科の植物アサイーの栽培が拡大している。専門家はしかし、アサイーの単一栽培が進むことで生物多様性が損なわれる恐れがあると危惧している。(写真はブラジル・パラ州アバエテトゥバのプランテーションで、アサイーの実を摘み取るジョゼ・ディオゴさん)収穫されたアサイーの一部はシャーベットやスムージー、ジュース、粉末、錠剤などに姿を変え、はるかニューヨークや東京の高級スーパーの棚に並べられる。アマゾンでは、伝統的な農業に従事していた農家に経済的な恩恵をもたらし、熱帯雨林を破壊しない「緑の開発」につながるとして称賛された。こうした変化を、ディオゴさんは最前線で目の当たりにしてきた。収穫が多い日には、300~625レアル(約8900~1万8500円)の収入があるという。収穫したアサイーは、船で州都ベレンに運搬され、傷つきやすい実の品質が落ちる前に労働者によって市場に運ばれる。アサイーはここ20年間、ブラジル国内で人気を集め、ジュースとして飲まれたり、シャーベットにされたりするほか、果物やグラノーラと一緒に供される。
ブラジルのアサイーとその関連商品の輸出量は、1999年の60キロから2021年には1万5000トン超に急増。ブラジル産アサイーの9割を供給するパラ州では、2021年に140万トン近くが生産され、州経済に10億ドル(1470億円)以上をもたらした。 だが、アマゾンでのアサイー栽培の拡大は、他の植物から置き換わることで、一部地域で生物多様性の低減を招いている。ベレンにある研究機関の生物学者マドソン・フレイタス氏は、「自然状態なら1ヘクタールに生えるアサイーの本数は50~100本だ」とした上で、「200本を超えると、他の原生種の多様性が60%失われる」と説明した。 同氏はそうした現象を「アサイー化」と呼び、関連論文を発表した。他の植物種が失われれば、ミツバチやアリ、ハチなど受粉を媒介する昆虫の減少によりアサイー自体にも悪影響を及ぼす。また、アサイーは雨期に冠水する土地で育ちやすいため、気候変動で助長されているとみられる、アマゾンにおける乾期長期化の影響も受けている。サトウキビやゴムといった一次産品の人気が高まり、そしてバブルが突然はじけた過去の事例が、サントス氏の記憶にある。二酸化炭素(CO2)を大量に吸収するアマゾンを保護する地元住人らには、補償が必要だと主張する。「われわれは環境面で世界に多大な貢献を果たしているのだ」【翻訳編集AFPBBNews】
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