EVシフトが開く車載電池「第二の人生」市場

EVシフトが開く車載電池「第二の人生」市場

2021/09/27 4:50:00

EVシフトが開く車載電池「第二の人生」市場

電気自動車(EV)の車載電池を蓄電池として再利用する技術に注目が集まる。EVは2020年代末に約1億4500万台が公道を走り、40年には年間で数億個の車載電池が寿命を迎える可能性がある。使用済み電池パックの多くは蓄電池として5~7年間再利用でき、低コストのエネルギー貯蔵源になるとみられている。車載電池を蓄電池にする際の課題やEVメーカーの今後の展開についてまとめた。EV部門は急成長する構えを見せ

車載電池の再利用は大きな商機が見込める分野だ。エネルギーデータ大手ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、40年には電池技術への年間投資額は約1000億ドルに達し、そのうちの大部分が蓄電池に投じられる。電池を再利用する技術はEVと電力系統の未来に大きなインパクトをもたらす位置に付けている。EVの電池パックは数百~数千個の電池セルからなる。電池パックの蓄電容量は時間が経つにつれて低下する。日常的な例では、スマートフォンの電池が1回の充電で持つ時間は2~3年後には短くなる。

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こうした劣化に対する消費者の不安を和らげるため、大抵のEVメーカーは車載電池の容量が保証期間内に一定の水準以下に下がった場合には、無償で交換している。一般的な保証期間は最大8~10年または走行距離10万マイル(約16万キロメートル)だ。もっとも、EVの電池パックは保証期間の終了やEVの廃車により「寿命」を迎えても、なおかなりの容量を保っている。実際、使用済み電池パックの多くの電池セルは蓄電池として5~7年間再利用できる。なぜ蓄電池なのかEVは電池パックから大量の電力を一気に引き出さなくてはならない(停止状態から時速60マイルに加速する場合など)が、蓄電池は数時間単位で電力を徐々に引き出すため、EVほど瞬時に大量の電力を消費しない。

車載電池の再利用にかかるコストは性能検査と再組み立てだけのため、これは電力系統にとって低コストのエネルギー貯蔵源になるとみられている。安価な太陽光発電や風力発電などの電源と組み合わせれば、電力会社の電気提供コストが減り、消費者に還元できる。車載電池を再利用した蓄電池は電力系統に低コストの二次的サービスも提供できる。例えば、電力系統は一定の周波数(米国では60ヘルツ)で運用されており、システムをその周波数帯に維持しなくてはならない。電池は周波数を調整し、補助装置を追加することなく周波数を維持できる。送電線の混雑軽減にも活用できるため、電力会社は費用がかさむ設備改修を先送りできる。 headtopics.com

課題は何か車載電池の再利用における主な課題は、使用済み電池パックの再利用可能なセルと劣化したセルの判別だ。セルは一定の基準以上に劣化すると有毒な化学物質を放出したり、発火したりする恐れがある。だが電池のモニタリングシステムでは個々のセルを追跡できず、EVメーカーは企業秘密を明かすことになる可能性があるため、外部企業に電池の性能を示すデータを公表したがらない。この課題に対処するため、電池メーカー各社はいくつかの手法を使って使用済み電池セルの状態を診断している。最も一般的なのは、一定の手順に基づいて個々のセルや複数のセルの充電と放電を繰り返す手法だ。これは時間がかかり、電池の残存能力の一部も使い果たすことになるが、劣化したセルと再利用できるセルを判別できる。

もう一つのテクニックはX線断層撮影や超音波などによる素材の特性評価だ。米タイタンAES(Titan AES)や米フィーシブル(Feasible)などの企業は超音波を使って電池の状態を診断する。この手法は迅速で効果的だが、車載電池の再利用に広く導入するにはなおコストが高すぎる。このため、充放電検査が引き続き再利用可能な電池セルを評価する主な手段になりそうだ。再利用技術はどれほど進んでいるか、主なプレーヤーは使用済み電池を再利用する技術はまだ開発初期の段階にとどまる。EV業界自体が比較的新しく、使用済み車載電池の供給が現時点では限られているのが主な理由だ。もっとも、ここ1年半で関心は高まり始めている。

電池の再利用がニュースで取り上げられた回数は増加傾向にある。20年5月には急上昇した。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究により、EVメーカーが再利用された車載電池を「太陽光発電と蓄電を組み合わせる」技術を開発する企業に販売し、収益を得られる可能性があることが明らかになったためだった。韓国・現代自動車傘下の起亜と同化学大手SKイノベーションが20年9月、車載電池の循環経済を構築するために提携を発表した際にも関心が高まった。電池の再利用への関心高まる (16年~21年8月16日に電池の再利用がニュースで取り上げられた回数)

この分野の米企業は提携や実証実験に力を入れている。例えば、ロンバス・エナジー・ソリューション(Rhombus Energy Solutions)とスマートビル・エナジー(Smartville Energy)は米カリフォルニア州チュラビスタ市と提携し、再利用電池の蓄電池を活用したEVのモバイル充電インフラを提供している。一方、電池の評価技術の開発に取り組むタイタンAESは19年、シリーズAのラウンドで米ベンチャーキャピタル(VC)エナジー・イノベーション・キャピタルから1000万ドルを調達した。再利用された電池を販売する企業は米国以外にもわずかだが存在する。英パワーボールト(Powervault)はこうした企業の中で調達総額が最も多く(約400万ドル)、住宅のバックアップ用電力システムを手掛ける。オーストラリアのレレクトリファイ(Relectrify)は使用済み車載電池を活用した産業・商業用電池「レボルブ(ReVolve)」を開発した。 headtopics.com

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