日韓対立に解消の兆し見られず、米国務次官補「できることはする」

日韓対立に解消の兆し見られず、米国務次官補「できることはする」
 7月17日、日本による韓国向け輸出規制強化を巡る両国の対立に解消の兆しは見られない。スティルウェル米国務次官補(写真中央)は訪問先のソウルで、対立の解消を支援するため「できることはする」と述べた。成田空港で11日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ソウル 17日 ロイター] - 日本による韓国向け輸出規制強化を巡る両国の対立に解消の兆しは見られない。スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、訪問先のソウルで、対立の解消を支援するため「できることはする」と述べた。また、韓国政府筋は同日、対立は世界的に悪影響を及ぼすとの見方を示した。
スティルウェル次官補は記者団に対し、日韓両国の状況を深刻に受け止めているとしつつ、米政府が取り得る措置については明言せず、対立の解消は基本的に両国次第だと述べた。
同次官補は「われわれは近いうちに解決することを望んでいる」と表明。「米国は両国の親しい友人・同盟国として、対立解消に向けた両国の取り組みを支援するため、できることはする」と述べた。
韓国政府筋は匿名を条件に記者団に対し、日本による半導体材料の韓国向け輸出規制の強化は世界のハイテク企業に悪影響を及ぼすとともに、米テキサス州オースティンにあるサムスン電子の半導体工場の操業に打撃を与えると述べた。
同政府筋は「アップル、アマゾン、デル、ソニーなどの企業と世界中の数十億人の消費者に悪影響を及ぼすだろう」とした。
サムスン電子は政府筋の発言を受け、「オースティン工場に影響がないとは言えないが、将来の生産が阻害されないよう最大限努力する」とのコメントを発表した。
同政府筋は、日本の措置は世界貿易機関(WTO)の原則から逸脱しているが、韓国としては対話による問題解決を望んでいると語った。
そのうえで、日本が、安全保障上の友好国とみなし、貿易上の規制を最低限に抑える「ホワイト国」から韓国を除外した場合、「甚大な問題」をもたらすことになると指摘した。
さらに、韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は17日、日本政府に対し、韓国への輸出規制を解除するよう繰り返し求めるとともに、韓国政府が日本の産業への依存度を減らす計画を間もなく発表することを明らかにした。
同相は経済閣僚による定例会議の冒頭、「韓国政府は日本の素材・部品・機器産業への韓国の依存度を減らすための包括的な計画を策定中で、間もなく発表する」と述べた。
<日本政府は徴用工仲裁期限に「あらゆる選択肢視野に毅然と対応」>
西村康稔官房副長官は17日午前の会見で、 いわゆる徴用工訴訟をめぐり、仲裁委員会設置の手続き期限である18日を目前に韓国政府が仲裁手続きを拒否したことについて、引き続き仲裁に応じるよう強く求めていくとした。
原告側による日本企業の資産の差し押さえや売却の動きがあることについて「深刻に受けて止めており、国際法違反の是正のための措置を早急にとるよう強く求めるとともに、日本企業の正当な経済的活動という観点からもあらゆる選択肢を視野に入れ、毅然と対応していく」と述べた。

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