米下院、トランプ大統領非難決議を可決 「人種差別的な発言」で
[ワシントン 16日 ロイター] - 米下院は16日、トランプ大統領が民主党の非白人下院議員4人に対して「人種差別的な発言」をしたと非難する決議を可決した。
トランプ氏は14日、4人の非白人下院議員を念頭にツイッターで「完全に破滅して犯罪がまん延する、元にいた国に帰り、建て直しを手伝ったらどうか」と述べた。
下院は民主党が多数派を占めるが、共和党からも4人の議員、さらに独立系議員1人が賛成に回り、240対187で非難決議は可決された。
トランプ氏はツイッターで4議員の名前を挙げなかったが、アレクサンドリア・オカシオコルテス議員(ニューヨーク州)、イルハン・オマル議員(ミネソタ州)、アヤナ・プレスリー議員(マサチューセッツ州)、ラシダ・トレイブ議員(ミシガン州)の4人の女性議員を指したとみられている。4人は全員米国民で、うち3人は米国で生まれた。
決議は「新たに米国民となった人や有色人種に対する恐れや嫌悪感を正当化し、拡大させたトランプ大統領の人種差別的な発言を強く非難する」としている。
民主党のペロシ下院議長は「こうしたホワイトハウスからの発言は不名誉で非常に不快なうえ、人種差別的だ」と批判した。
ペロシ氏の発言で下院は採決前の2時間混乱に陥った。共和党は、ペロシ氏の発言が行き過ぎたもので、審議のルールを守っていないと批判した。
共和党のマッカーシー下院院内総務は、民主党の発言が議会の「秩序と品位」を乱しているとし、決議に反対するよう共和党議員に呼びかけた。
一部の共和党議員はトランプ氏のツイートを擁護する姿勢を示した。
トム・マクリントック議員は、トランプ氏は議員らの人種ではなく愛国心について発言したのだと指摘。「大統領が時々使う言葉がもっと控えめだといいと思う。最近の発言が不必要に挑発的だったことに同意するが、彼が指摘したポイントは反論の余地がない」と語った。
ダグ・コリンズ議員は、この日の採決について「驚くほど党派主義的」と非難。議員らはトランプ氏に対する攻撃をエスカレートさせるのではなく、調和を模索すべきだと指摘した。
共和党のマコネル上院院内総務は記者団に対し、「全員が語調を和らげるべきだ」と思うと語り、「大統領は人種差別主義者ではない」と述べた。
ホワイトハウスは現時点でコメントを出していない。
トランプ氏は、16日夜のツイッターへの投稿で「民主党議員4人に関する私の発言に関連したきょうの採決で、共和党がどれほど結束しているか分かったことは素晴らしい。発言の真意を知りたいなら、彼女らが米国やイスラエルなどについて述べたひどいことに目を向けるべきだ」と語った。
*内容を追加しました。
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