トランプ氏、野党女性議員たちへ「もといた国へ帰ったらどうだ」 人種差別と批判高まる

AOC, Rashida Tlaib and Ayanna Pressley

画像提供, EPA

画像説明, トランプ氏が攻撃した(左から)アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員、ラシーダ・タリーブ下院議員、アヤナ・プレスリー下院議員。タリーブ議員はトランプ氏を「大統領として完全に大失敗な無法者」と批判した

ドナルド・トランプ米大統領は14日午前、自分を批判する有色人の女性下院議員に対して、「政府がまったく完全にひどいことになっている国からもともと来た」のだから、「帰って、もといた国を良くしたらどうだ」とツイートした。野党・民主党の女性議員たちはそれぞれアメリカ生まれだったり、幼い頃にアメリカに亡命している。トランプ氏の発言は人種差別だと批判の声が上がっている。

トランプ氏は3連続のツイートで、「『進歩的』な民主党の女性下院議員たちが、政府がまったく完全にひどいことになっている国からもともと来たのに、世界で最悪でひどく腐敗してほかのどこより無能な政府(政府が機能していればの話だが)の国から来たのに、それが今や、世界で最も偉大で最強のこの合衆国の人々に、この国の政府をああしろこうしろと大声で罵倒しているなんて、実に興味深い。もといた国へ帰って、完全に壊れて犯罪まみれの地元を直す手助けをしたらどうだ。それをやってからここへ戻ってきて、やり方を教えたら」と書いた。

さらにトランプ氏は、「そういう場所は皆さんの助けがぜひとも必要だ。できるだけさっさと行ってもらいたい。ナンシー・ペロシは喜んで、無料渡航の算段をすぐにしてくれるはずだ!」と書いた。

トランプ氏は、どの民主党女性議員を攻撃しているのか名指しはしなかったが、民主党幹部のペロシ下院議長への言及から、ペロシ議長がこのほど国境警備をめぐり党内で対立したアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員、ラシーダ・タリーブ議員、アヤナ・プレスリー議員、イルハン・オマール議員のことだと広く受け止められている。

4人のうち、オカシオ・コルテス議員、タリーブ議員、プレスリー議員はいずれもアメリカで生まれ育った。ソマリア生まれのオマール議員は、12歳で家族と共にアメリカに難民として亡命した。

オカシオ・コルテス議員はニューヨーク・ブロンクス生まれ。出身地は、トランプ大統領が生まれたニューヨーク・クイーンズの病院から20キロと離れていない。

Trump

画像提供, AFP

画像説明, トランプ氏に対しては人種差別で白人国家主義だとの批判が繰り返されてきた

白人至上主義と批判

ペロシ下院議長はツイッターで、トランプ氏のツイートについて「外国嫌悪」で人種差別的だと批判した。

議長は、「アメリカの女性下院議員4人に母国へ帰れと言う(トランプ氏は)、自分の『アメリカを再び偉大にしよう』計画は最初からずっと、アメリカを白人の国にする計画だったと、あらためて強調した」と批判。「私たちの多様性こそこの国の強さ、私たちの団結こそこの国の力だ」と、議長は強調した。

さらに議長は、「この国を分断しようとするドナルド・トランプの外国嫌悪的発言を、私は拒絶する。彼は連邦議会議員を攻撃するのではなく、アメリカの理念を反映する人道的な移民政策のために我々と協力すべきだ」と書いた。

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ミシガン州選出のタリーブ議員はツイッターで、トランプ氏の大統領弾劾を呼びかけた。

「大統領として完全に大失敗な無法者に、私がどう反応するか? あの人こそ危機そのもの。あの人の危険な思想こそ危機そのもの。弾劾しなくてはならない」と議員は書いた。

ニューヨーク州選出のオカシオ・コルテス議員はトランプ氏に向かって、「私たちを選出したアメリカを受け入れないだけでなく、あなたは私たちがあなたを恐れていないことも、受け入れられない」とツイートした。

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オマール議員は「大統領閣下」と呼びかけるツイートで、「連邦議会議員として私たちが忠誠を誓う国はたったひとつ、アメリカ合衆国です。だからこそ私たちはこの国を、見たことがないほど最悪に腐敗して無法な大統領から守るために戦っているのです」と書いた。

議員はさらに、「私たちのような者が連邦議会で奉職し、あなたの憎悪に満ちた政策目標に抵抗しているから、あなたは怒っていて、だから白人国家主義をたきつけているんですね」と続けた。

プレスリー議員は、トランプ氏のツイートのスクリーンショットに添えて、「これが人種差別の姿。私たちが民主主義の姿」とツイートした。

2020年米大統領選の民主党候補指名を目指している候補者たちも、次々にトランプ氏を非難した。

エリザベス・ウォーレン上院議員は、「おぞましい発言」は「人種差別的で外国人嫌悪的な攻撃だった」とツイート。「トランプが気づいていようといまいと、こここそが(攻撃された女性議員たちの)国だ」と書いた。

ベト・オローク前下院議員は「これは人種差別だ。この女性議員たちはあなたとまったく変わらず、アメリカ人だし、我々の価値観をあなたなどよりはるかにまともに代表している」とツイートした。

バーニー・サンダース上院議員は、トランプ氏のツイートを引用し、「大統領を人種差別主義者と呼ぶとき、私はこういうことを言っているんだ」と書いた。

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民主党の大統領候補としてトランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン元国務長官は、トランプ氏に向かって「彼女たちはアメリカ出身で、あなたの言うことはひとつだけ正しい。彼女たちの政府は現在確かに、まったく完全にひどいことになっている」とツイートした。

与党・共和党からは速やかな反応はほんとんどなかったが、共和党重鎮だった故ジョン・マケイン上院議員の娘、メガン・マケインさんは「これは人種差別だ」とツイートした。

「たとえオマール下院議員だけのことだったとしても、それでも人種差別には変わらない。この国に歓迎した人たちに、『もとの場所へ帰れ』など言うものじゃない」とマケインさんは書いた。

他にも大勢がソーシャルメディアで大統領を批判し、米誌アトランティックのアダム・サーワー記者は、「トランプは白人国家主義者じゃないと一度でも力説したことがある人は、言った相手を探し出して謝罪すべきだ」などと書いた。

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米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョシュ・ローギン氏は、「これはひどい、人種差別的で悲しい、最低最悪を更新した。たとえトランプにしても、これはひどい」と書いた。さらに、「初めて連邦議会に当選した難民出身のムスリム系アメリカ人が、合衆国大統領から人種差別攻撃を受けなくてはならないとは、アメリカ人全員にとって汚点で、歴史的な恥辱だ」と非難した

一連の批判に対してトランプ氏は同日夜、「この国についてひどいことを言う連中、そしてイスラエルを本気でとことん憎む連中を、民主党が擁護するのを見るのは本当に悲しい」、「合衆国について連中が口汚く罵るのを、放っておくわけにはいかない。このようなみっともない真似を民主党が引き続き容認するつもりなら、ますます2020年に投票所で皆さんにお目にかかるのが楽しみだ!」と支持者に向けてツイッターで呼びかけた。