車窓に伊予灘が広がる景観と地元レストラン提供のグルメに加え、沿線の人たちが手を振る「お手振り」と呼ばれる温かいもてなしの風情が評判となり、県外や海外から訪れる観光客の利用も多く、新型コロナのパンデミックが始まる前まではほぼ満席の予約状況が続いていた。車両には伊予灘の夕景をイメージし、1号車が「茜の章」、2号車は「黄金の章」と愛称がつけられている。運行は金曜日~月曜日を基本に1日4便。松山-伊予大洲(運賃1970円、食事は別)、松山-八幡浜(運賃2300円、同)を1便ずつ往復し、いずれも瀬戸内海に面した無人駅「下灘駅」に10分程度停車する。
来春からは車両が現在の「キハ47系」から「キハ185系」となり、外装のデザインを継承しつつ、鏡面に近い光沢のある塗装が施される。増設する1両は3号車となり、愛称は「陽華の章」。2~8人で利用することができる。 JR四国のデザインPT担当課長、松岡哲也さんによると、新車両は香川県の多度津工場で現在、改装中。同列車の運行開始当時から、サービスに必要なスペースが手狭で車両を増やせないかと、増設の構想があったという。「皆さまに愛され更新することができる。幸せな車両です」と松岡さんは話す。1、2号車は1人当たりの専有面積が広くなり、3号車には夕日が映り込む大型のテーブルを配置し、海との一体感を演出するという。観光列車での大きな楽しみは食事。地元食材にこだわるレストラン4店がそれぞれの運行時間帯に合わせたグルメを提供しており、食器は伝統工芸品・砥部焼(砥部町)を使用している。コーヒーカップ、ティーカップなど食器は女性7人で構成する作家グループ「とべりて」の作品を採用し、作家ごとに異なる絵付けを楽しむことができる。とべりての代表を務める山田ひろみさん(きよし窯)は「リニューアルしても器づくりをさせていただけるので、本当に感謝しています」と話し、砥部焼PRの一端をこの列車が担っていることを指摘した。伊予灘ものがたりのアテンダントとして直接、乗客に接している加藤舞さんは、お手振りなど地域のもてなしに感動したと
JR四国常務で鉄道事業本部長の長戸正二さんは「沿線では住民の皆さんが手を振ってくださる。こちらからお願いしたわけではなく、毎回、本当に自発的に。こんなのは、ここにしかないです。世界に自慢できます」と地域の人たちへの感謝を述べた。アフターコロナを見据え、「もうすぐその時代がくると思う。来年春に向けてこのチームで体制を整えていきたい」と述べ、観光列車が厳しい状況のローカル鉄道にあって、未来を切り開くための一筋の光ととらえる。「4月の早い段階で運行を始めたい」と話した。 リニューアル後の伊予灘ものがたりは全車特急・グリーン料金となる。1、2号車は、松山-伊予大洲3670円、松山-八幡浜4000円の予定。3号車のグリーン個室は2万8000円。乗車の1カ月前から全国のみどりの窓口などで販売する。(村上栄一)
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