巨人坂本勇人内野手(30)が2ラン2本を放ち試合を決めた。今季初登板のDeNA先発東に襲いかかり、1、3回に本塁打。自身開幕から32試合連続出塁で序盤で力強く主導権を引き寄せ、東のKOに成功した。今季12本としDeNAソトを抜き、ホームランダービー単独トップに浮上。年間53発ペースで本塁打を量産している。首位のチームは完勝でゴールデンウイークの連戦を締めくくった。

黄金週間のフィナーレを華々しく飾った。薄暮の横浜スタジアムで、坂本勇が豪快なアーチを重ねた。1回無死一塁。DeNA東の真ん中低めの130キロスライダーをかち上げた。2戦連発の11号左越え先制2ランを確信し、悠然と周回。左腕の快速球に照準を定めながら、「たまたま反応で打った」と変化球を仕留めた。

難敵を沈めた。東には昨季6試合先発で5勝を献上し、防御率1・33。6点しか奪えなかった。ただ坂本勇は13打数5安打、打率3割8分5厘と奮闘。立ち上がりによろけた敵のすきを見逃すはずがない。3回2死二塁では逆球になった内寄り高めの直球を再び左翼席にリーグ単独トップの12号2ラン。夕日が沈みきる前の3回で東を退けた。「次に対戦する時に少し嫌なイメージを与えられたらプラスになる」と見据えた。

新時代でも先頭に立って伝統を継ぐ。プロ2年目、19歳からレギュラーに定着。食らいついてきたが「巨人でしか感じられない重みを今は受け止められるようになってきた。それが当たり前の中でやっている。安易に『もっと楽しく』とは思わない」。大型連休を横目に当然のように“皆勤”を続ける。

開幕からの連続出塁を32試合とし、球団では64年長嶋茂雄に並び2位タイに浮上。球団記録の77年王貞治の33試合にも王手をかけた。通算安打も高橋由伸の1753本を超える1754本。「現役の間は実感がないが一線級でやってきた方々と並べたのはうれしい」。老舗球団の「令和初代主将」が、レジェンドの領域へ足を踏み入れた。

近年のトレンドでは最重要といわれる2番、どの時代も不変のセンターラインである遊撃を担う。だから、シーズン53発ペースで積み上げる主将の本塁打とチームの勝ち星は必然的に比例する。「ホームランバッターじゃない。1番は出塁。結果、ホームランになればチームにプラスになる」と、ぶれない。原監督は「かなりパワーアップしている。ガーンっというより、ビャーンっとライナーでいく本塁打。素晴らしい」。坂本勇が10連戦を白星先行で締めた。【為田聡史】