しかし、単に細いノズルを通して極細の糸状にしただけのポリプロピレンは、不織布のフィルターとして機能するには太すぎるそうです。そこでメルトブローン製法では、非常に高温の空気でポリプロピレンの糸をブローすることにより、さらに糸を細く成型しています。研究開発責任者のDetlef Frey氏は、「私たちが使用するポリプロピレンは摂氏160度の融点を持っており、糸に吹き付ける熱風は250度です」と述べています。
熱風は毎秒約300メートルほどの勢いでポリプロピレンの糸をブローするそうですが、この熱風を2方向から糸の周辺でぶつけることにより、狭い範囲でランダムな空気の渦が形成されるとのこと。この渦によってさらに糸にぶつかる空気の流れが速くなり、熱風によって解け出した糸がさらに細くなる仕組みとなっています。Frey氏は「熱風を当てて糸を細くすると同時に、糸の破損を防ぐ必要があります」と述べ、高い品質を保ちつつ不織布を作ることは困難でありつつも魅力的な工程だとコメント。 開発エンジニアのAlexander Klein氏は、「糸の切れ目や破損がなく、問題がない均一な不織布が得られるように設定を調整する必要があります。その結果、繊維の細さが均一な製品が得られます」と述べ、不織布の生産においては製造プロセスの制御が非常に重要になってくると指摘。Reicofilが開発する製造機械は製品の欠陥を光学的に検出するシステムを搭載しているほか、完成したフィルターの通気性も自動的に測定するセンサーを備えています。このように、ある程度の問題は自動的にチェックが行われますが、定期的にフィルターのサンプルを採取して通気性とフィルターとしての分離率を測定し、フィルターの分類が求める仕様を満たしているかどうかをチェックする必要があるとのこと。
Klein氏は、「テストを行うことで、プロセスのうち何かが機能していないことを示唆する変化を検出できます」と述べています。このように厳重なチェック体制が必要とされるのは、不織布の原料である融解したポリプロピレンが流動的で、粘着性をもっているからです。かそれより小さいくらいです」とコメント。熱風でブローすることにより、ポリプロピレンの糸は直径約0.5マイクロメートルほどの細さになるとのこと。この細さのポリプロピレンの糸がわずか7gあれば、地球を1周することができるそうです。 不織布のフィルターは非常に細かいものの、新型コロナウイルスの大きさは0.1~0.2マイクロメートルほどともいわれており、フィルターの穴よりもはるかに小さいことがわかっています。そのため、エンジニアらはフィルターの穴よりも小さいウイルスを捕えるため、さまざまな工夫を行っています。
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