米保守の地盤、テキサスでも風力発電(The Economist)(写真=ロイター)

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米保守の地盤、テキサスでも風力発電(The Economist)

ジョン・デービス氏の一族は140年以上にわたり、米南部テキサス州西部の平原に広がる大牧場「ピーカン・スプリング・ランチ」を所有している。高祖母はかつて「テキサスの羊の女王」と称され、干し草の納屋の前に今も立つ木の下で馬車に乗っている写真が残っている。農場の経営を維持していくことは、市場価値の高い和牛を飼育していても難しい。だが、ある再生可能エネルギー開発会社が、風力タービンを牧場に設置する費用として多額の出資を申し出たとき、筋金入りの共和党員で元州議会議員のデービス氏は最初はこれを断った。

「グリーン」という言葉でさえ、(編集注、気候変動との戦いに結びつけるために)左派が採り入れた概念として毛嫌いされている。別の再生エネ推進団体「エネルギー革新のための保守的なテキサス人」のマット・ウェルチ代表は「あなたはグリーンエネルギーを進めていると言われるととても不愉快になるので、単にクリーンエネルギーと呼ぶことにしている」と話す。 石油・ガス業界を代表するロビー団体「テキサス州公共政策財団(TPPF)」や、シェールブームで潤った右派が支援する「テキサス州地主連合」などの組織は、風力発電の開発を阻止しようと徹底抗戦している。TPPFは、遠く離れた北東部ニューイングランド地方の洋上風力発電の開発にまで戦いの場を広げている。

3つ目の教訓はプラグマティズム(実利主義)にある。米国の化石燃料使用を抑制するために数千億ドルを投じるバイデン大統領肝いりの「インフレ抑制法(IRA)」に共和党議員は全員一致で反対したが、テキサスなど伝統的に共和党が強い「赤い州」は受け入れる方針だ。

 

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