経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む136カ国・地域は8日、店舗などの物理的な拠点がなくてもサービス利用者がいれば税収を得られるデジタル課税の導入で最終合意した。法人税の最低税率は15%で決着した。2023年の制度開始を目指す。米IT(情報技術)企業を念頭に欧州など一部の国が導入していた独自課税は廃止する。これまで店舗などの拠点を前提にしていた課税原則が約100年ぶりに転換する。合意したデジタル課税は売上高200億ユーロ(約2.6兆円)超で税引き前利益率が10%超の企業100社程度が対象。日本企業も該当する可能性がある。売上高の10%を超える利潤の25%に課税する権利を消費者のいる国・地域に配分する。
デジタル課税に関する国際条約を22年に策定。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を想定した各国独自のデジタルサービス税は条約の発効後に廃止すると確認した。英国やフランス、スペインはネット広告などの売上高に課税する仕組みを設けており、巨大IT企業を抱える米国が速やかな凍結・撤廃を求めていた。 企業が負担する法人税の最低税率を15%に設定する。7月の大枠合意では「少なくとも15%」だった。総収入が年7.5億ユーロ以上の企業を対象にする。税率の低い国・地域に子会社を置いて税負担を逃れるのを防ぐ。 製造業など経済活動の実態がある企業の進出先の国・地域の経済に配慮した内容も盛り込んだ。工場などの有形資産や従業員への支払い分の給与の5%を課税対象から除外するのを認める。制度開始後の10年間は移行期間とする。有形資産は当初8%、支払い給与は10%を除外対象にして、段階的に引き下げる。
合意は1980年代から続いた法人税の引き下げ競争に歯止めをかける節目にもなる。米国のイエレン財務長官は「世界は法人税の底辺への競争を終わらせることを決めた」とのコメントを発表した。英国のスナク財務相は「より公平な税制への明確な道が開けた」と強調した。
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